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《ネタバレ》 志は買う。国内大手メディアの萎縮が指摘されるなかで、現実世界の政治問題に果敢に突っ込む思い切りの良さは、映画というメディアの可能性をあらためて見せてくれたと思う。ただ、そうだったとしても同時に感じてしまうのは、その映画としての手法や脚本の残念さだ。使い古された手持ちカメラ風映像、現実に起きた事件をなぞりすぎていてヒネりがない脚本、松坂桃李夫婦の描き方に見えるあまりに古くさい男女像、陰謀論スレスレの内調の描写など、たとえば日刊ゲン○イやネットニュースのリ○ラあたりに感じる「リベラル親父」感そのままの描写は、ちょっと痛い。そのくせ「真相」部分では突然「政府が生物兵器開発のために大学を新設」という荒唐無稽な陰謀論が姿を現し、それまでの(オヤジメディアが生きる)リアリティ路線の壁を突然ぶちやぶってしまう。あの事件は(最近の桜の件同様)、あまりにもセコい動機のために(公文書の扱いなど)国家制度のしくみ自体を腐らせたことが問題だと思うのだけれど、この映画では必要以上の「巨悪」に仕立て上げてしまう。この「真相」をリアリティの延長線におけると制作側が考えていたとしたらそれも痛いし、そうではないのであればなぜ最後だけファンタジーにして物語のバランスを自ら崩してしまったのか、よくわからない(そして、この点は原案となっている記者さんにとっても大きなマイナスのような・・・)。結局見終わった後に感じたのは、「リベラル親父メディア」をもとにした(出来がよくないタイプの)池井戸潤ドラマ、という残念な感覚だった。
【ころりさん】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2020-03-11 06:56:19)
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