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《ネタバレ》 アンソニー・ホプキンスとジョナサン・プライスの2人のベテラン俳優のやりとりを見ているだけで楽しい。2人ともイギリス生まれの英語母語者なのに、ホプキンスのドイツ訛り英語(ときどきラテン語混じり)の独特の間とか、かつて『エビータ』ではフアン・ペロンを演じたプライスのスペイン語訛り英語のユーモラスな感じとか、役者ってすごいと素直に感心してしまう。そして、2人が母語ではない英語で会話することで生まれる不思議な距離感。意見は正反対でわかりあってるわけではないのに、それでも人間と人間が対話することで生まれる、心のどこかとどこかが「つながった」その瞬間を見事に描いていると思います。そして、物語は、ユーモラスな二人のやりとりの先に、それぞれが過去に犯した罪へとクローズアップしていく。罪ゆえに指導者の座を降りようとするベネディクト16世と、過去の罪に向かい合うがゆえに指導者の立場を躊躇するベルゴリオ枢機卿。リーダーシップとは何か。罪や過ちの「責任を取る」とはどういうことなのか。このあたりの道徳観がすっぽりと抜け落ちた自称指導者ばかりの世の中で、世界で最も古い、権威主義の象徴のようなローマ教会で起きた変化にまだまだ世の中捨てたものではない、という前向きな気持ちにさせてくれるのも素晴らしい。
【ころりさん】さん [インターネット(字幕)] 7点(2020-01-19 00:00:15)
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