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《ネタバレ》 冬休みに入ったらしく、若い人で賑わう映画館。本作でも観客を見渡すと、同世代らしき一人の観客のほかに、ちらほら若い観客の姿も。ダブルデート(死語?)らしき中高生4人組も見かけて、なぜかこちらも少しテンション上がる。
さて、肝心の映画ですが、120分退屈せずに楽しめました。楽しめたんだけど、いろいろ言いたいことも。 まず良かった点。定番のコンゲームものですが、ほとんどダレる展開がなく、ストーリーもわかりやすいし伏線回収もばっちりで、しかもきっちり120分で終わる。エンタメ邦画に多い、無駄なギャグを突っ込んだり、逆にやたらウェットなシーンがだらだら続くみたいなことが一切ない。何が起きてるのか、人物がどんな感情なのかが、少ない説明でもすっとわかる。これって簡単そうで難しい。映画愛と勢いで突っ走った『カメラを止めるな』の上田慎一郎監督でしたが、今作では少し違った才能をばっちりと発揮したみたい。これで上田監督は「信頼できる監督」の評価を確立したのでは。キャストも、主演の内野聖陽さんの「税務署職員」、今乗りに乗ってる岡田将生さんの「詐欺師」をはじめ、脇役までみんな似合ってて楽しそう。悪役の小澤征悦さんだけちょっとコントっぽかったかな。あと神野三鈴さんがよいです。とくにラスト。 残念だった点。これはしょうがないのですが、土地売買詐欺という手法。最近でも池井戸潤原作の某作でも出てきたし、何よりNetflixの『地面師』という大ヒット作とかぶってしまって、どうしても既視感のある描写が続いてしまう(そして、それらのなかでも本作の手法が一番雑・・・)。それから、主人公の内野さん演じる熊沢が「税務署職員」「公務員」であるという設定があんまり活きていないこと。やっぱり最後の詐欺ゲームで、税務署職員だからこそできる活躍(たとえば、帳簿が出てくるので、あれをどうこうする展開とか)がないので、「公務員・税務署職員が」悪徳業者をやっつけた!感がどうしてもないこと。たとえば、某維新の会のような公務員バッシングみたいな設定があって、それを気持ちよく覆してくれるみたいな展開も見たかった。そこで、川栄李奈さん演じる部下とのチームワークとかが発揮されれば最高だったのに。 とかいろいろ気にはなるものの、終映後、ダブルデートの中高生が楽しそうに感想を話しあってるのを見かけて、すっかりいい気分に。テレビ局企画やらディズニー続編でもなく、この映画をチョイスした君たちのセンスがおじさんはうれしい! かれらにとって楽しい1日になってくれることを密かに祈って劇場を後にしました。 【ころりさん】さん [映画館(邦画)] 6点(2024-12-20 17:10:28)《新規》
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