| 作品情報
レビュー情報
《ネタバレ》 いきなり結末についての考察になってしまいますが、バーグマン扮するカリンは夫のもとに戻るのでしょうか?「神様!神よ、私に力を!」と叫ぶところで終わってしまい、ここから戻るくらいならここで死んだ方がマシ、という意志の固さを自分は感じました。
映画の序盤に話を戻すと、カリンは「自由を求めてアルゼンチンに行きたい」と言い、また「私は文明社会の女」とも。 夫を捨て、噴煙を上げる火山を命懸けで乗り越えてまで女が手に入れたかったもの・・・自由とは一体なんだろうと、映画を観終わって考えた。 イタリア本土やアルゼンチンに行けば文明的な生活ができ、自由が得られると考えていたようですが、文明的な生活をすることが自由なのか? カリンは自分の中に新たな命を宿し、夫からの愛を受けているにもかかわらず、色目を使って本土へ逃れようとしていましたが、夫の愛や子供の命よりもそれは大事なものなのか?疑問を抱かずにはいられません。 また、島民の閉鎖的な気質も理解が難しい。よそ者だろうとお互いに助け合う精神が見えないのは何故なんだろう?あれほど自然災害が頻発する場所だと、大抵は協力し合う気持ちが自然と出てくるような気がするのですが。この住民の環境も映画用に作られたような気がしてならず、ヒロインの心情も含めて疑問点の多い物語のように思えます。 これを踏まえると、この映画の言いたかったことは一体なんだったのだろう??いくら考えても自分には分かりません。 一方で島での生活についてですが、こちらはかなりリアルに捉えている印象。 やはりマグロ漁のシーンは必見で、大勢で歌に合わせて網を引き、大量のマグロが水面に上がるシーンは圧巻。銛で巨体を船に引き上げ、幾重にも重なるマグロの姿。複数のカメラで捉えたこの一連のシーンは、自然からの恵みを享受し喜びに溢れる一場面と言えるでしょう。また、噴煙や土砂が村全体を覆い島民が逃げ惑うシーンも嘘偽りのない本物の噴火現場を撮ったと思われ、これほどの災害を生で撮影に挑んだ監督やスタッフ達の情熱には頭が下がる思いでありますし、最後の噴火口付近でバーグマンが火山灰を吸い込み咳込む姿を見ても並大抵でない苦労が伝わってきて、劇中でのカリン役の島を出るのだという強い意志とがオーバーラップし、自分がそれまで感じていた疑問など吹き飛んでしまうほどの圧倒されるような気持ちになりました。 【もっつぁれら】さん [映画館(字幕)] 6点(2013-12-23 15:05:34)
もっつぁれら さんの 最近のクチコミ・感想
|