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レビュー情報
《ネタバレ》 「THX-1138」や「ガタカ」を思わせる管理社会が舞台のSFですが、管理社会の正の面にもスポットをあて、”安全ではあるが息苦しい都市”と”自由とリスクが背中合わせの荒野”のどちらで生きるべきかをテーマとした点が、本作のあたらしいところ。管理社会の正の面とは、多少お節介ではあるが、テクノロジーを駆使して可能な限りの安全保障を住民に提供しているという点です。本作にはパペルという通行証が登場します。これがなければ住民たちは自由に移動することが出来ず、劇中では管理社会の象徴として登場するアイテムなのですが、物語の中盤においてこのパペルの存在意義が明らかにされたところから、本作は単純なディストピアSFではないことが判明します。。。
コウモリの研究をしたいものの、パペルが発行されないためにコウモリの生息地へ行くことができないという友人のために、主人公たちは偽造したパペルをその友人に贈ります。念願叶った友人は最高の笑顔を見せるものの、後に彼は風土病で死亡します。当局は個人の遺伝子から感染リスクを計算し、リスクの高い地域には足を踏み込ませないことで住民の命を守るという管理体制を敷いていたのですが、主人公たちがこれを破ったために友人は死んだのです。夢を諦めて平穏に長生きする人生と、結果的に死が待っているとしても、夢に向かっての第一歩は確実に踏み出せたという満足感は確かに味わえた人生、どちらが幸せだったのでしょうか? 主人公カップルにも過酷な運命が待ち受けています。ウィリアムは愛する人の記憶をすべて奪われた上で、妻と子供と何不自由のない生活が待つ都市へと連れ戻され、マリアは死ぬほど人を愛したという記憶だけを残して荒野へと追放されます。。。 以上の趣旨はむちゃくちゃに良いのですが、娯楽性ゼロで全然面白くないのが本作の欠点。とにかく単調だし、監督のナルシシズムが鼻につくので容易にオススメできない映画です。 【ザ・チャンバラ】さん [DVD(吹替)] 5点(2012-05-29 01:42:23)
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