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《ネタバレ》 2時間は退屈しないので最悪な映画ではないものの、ストーリー展開及び作品の方向性について「なぜそうなるの?」という疑問点が多すぎて、決して良い映画とは言えません。。。タイトルの「60セカンズ」とは、たった60秒で車を盗んでしまうという盗みのプロフェッショナルのことを指しています。そんなタイトルである以上は、主人公が華麗な技を駆使して車を盗み出すことが作品のハイライトになると思うでしょ?普通。しかし驚いたことに、この映画では60秒で車を盗むという技が一度も登場しません。このことが象徴するように、本作は「車を盗み出す」という物語の芯の扱いが非常に軽く、そのために作品全体がまとまりに欠く結果となっています。盗みの場面における緊張感のなさは異常で、泥棒達が大声で喋るわ、車をボコボコぶつけるわとやりたい放題。警察に見つかるかもということは誰も気にしていないようです。「メルセデスのキー」など物語の前半部分で張っておいた伏線が主人公達を苦しめることもなく、驚くほどスムーズに、かといってプロらしい技を披露することもなく高級車50台を盗んでしまいます。窃盗団のメンバー達の描写も軽く、ヴィニー・ジョーンズやチー・マクブライドは訳ありげに登場したものの、彼らはどんな技を持っていて、作戦の中でどんな役割を果たすのかの説明は一切なく、ヒロインであるアンジェリーナ・ジョリーすら活躍の場を与えられていません。その一方で、ライバル窃盗団との抗争とかドラッグの隠蔽とか犬のフンとか本筋とはまったく関係のない描写が異様に多くて、贅肉ばかりで骨のない映画となっています。そして最悪なのがラストで、嫌な予感はしていたものの、本当にその通りにしてしまったプロデューサーのセンスには恐れ入りました。主人公は、物語の発端を作った悪党のボスを殺してしまうのですが、こいつを殺してしまったのでは車を50台も盗んできた意味がなくなってしまいます。最初からこいつを殺していればよかったわけですから。さらに、主人公達の犯罪がすべて見逃されるという都合の良すぎるオチには唖然。作品中にケイジと刑事が心を通わせたり、お互いを認め合う描写があったのならこんな展開にも必然性が生まれるのですが、そういった描写が一切ない中で、今までケイジを必死で追いかけていた刑事が、突如心変わりして彼を許すという展開は不自然にも程があります。
【ザ・チャンバラ】さん [DVD(字幕)] 5点(2010-09-22 21:10:30)
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