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なよなよの戦争映画ですね。登場人物の感性や価値観は概ね現代のものであって、まさに極限状態だった戦争末期の潜水艦乗りらしい硬派なところが感じられませんし、ローレライシステムがまんま綾並レイだってってのも脱力。人命が奪われると少女がショックを受けるというきれいごとのために、敵を撃破するというアクション本来の醍醐味が大きく奪われているのが痛い限りです。クライマックスの海戦では、敵を殺さないようにわざわざ信管を抜いて魚雷を発射するというあんまりなことまで。あそこは大艦隊と生きるか死ぬかの大戦争をやって、敵艦をボンボン沈めて盛り上がるところでしょうに。より幅広い客層に訴えるため、恐らく意識的に男臭さを排除したのでしょうが、その結果、真剣に映画を見ている層を納得させる出来は放棄しているかのようです。
以上のようにダメなとこいっぱいで普段の私なら絶対認めたくないタイプの映画なんですけど、しかししかし、なぜかすんなり楽しめたので不思議でした。映画ってのは理屈ではなく個人的な感性を刺激するものなんだなぁとあらためて思いましたね。こんなことがあるから映画は自分の目で見続けなきゃいけないんだなと。アラは山ほどあるものの、確かに演出には一本筋の通ったものを感じました。さすがは腐ってもオタクというか、戦闘シーンでの視点やカット割は実に的を射ていて燃えましたとも。絵にしか見えないVFXはさて置いても、何を映すかという根本的なビジュアルセンスには良いものを感じました。ドラマパートに入ると話のテンポが突然落ちてつまらなくなるものの、その退屈さを切り裂くように突如メインテーマが高鳴って怒涛のアクションに突入するという話の切り替え方も良かったです。静と動のうまい組み合わせですね。このカタルシスのためにあえてつまらないドラマを間に挿入したのかと思えたほどでした。そんなわけで、樋口監督に只ならぬ可能性を感じた映画でした。 【ザ・チャンバラ】さん [DVD(字幕)] 7点(2006-03-25 15:23:41)
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