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前作には比較的好意的な評価をしたのですが、続編の本作はダメでした。緊張感の欲しい時にダラダラしてしまう演出、感動させようとして上滑りするセリフ、ねちっこい演技、青春映画だった前作においてはこれらの欠点にも目をつむることができたのですが、一転してアクション大作を目指した本作においては、これらの欠点が映画の足を引っ張りまくっています。沈没までのタイムリミットを設定したにも関わらず登場人物が誰も焦っていない、ちょっと進むと休憩して人情話をはじめてしまう、挙句の果てには長い長いプロポーズ、本当にいい加減にして欲しかったです。背後には置き去りにしてきた仲間がいるのに、そんな一刻を争うタイミングで恋人にプロポーズだなんてどういう神経してるんでしょうか。そんなトンチンカンなプロポーズを聞いて感動している司令部の人間達も異常で、前作に登場した鬼教官が聞いたらブチ切れてるところでしょう。その他にも、本作は明確に指摘できる欠点が盛りだくさん。まず、冒頭の航空機事故で主人公の仙崎はトラウマを負うのですが、その苦悩がまったく表現できていません。トラウマがきっかけで仙崎は結婚を延期しようと言い出すのですが、ビヤガーデンで大騒ぎする様子からは苦悩を抱えた人間にはとても見えず、そんな描写の後で「僕は悩んでるんです」と言われても納得できません。その後にもトラウマに絡めた話がいくつか出てくるのですが、セリフで「あいつは悩んでる」と言われるだけで当の仙崎がトラウマに苦しむ表情をしていないため、まったくドラマチックではありません。次に、大塚寧々が妊婦である設定がまったく活かされていません。身重の彼女がレスキューを難航させる原因となるのがこの手の映画における定石だと思うのですが、設定だけ準備しておいしい要素を素通りしてしまった脚本には首をかしげます。バカ丸出しのテレビリポーターや、難しい顔をしてるだけの石黒賢など、余分な登場人物が多いのも本作の特徴。絞れば90分程度で終わる話を120分弱に引き延ばすために、必要のない描写、必要のないキャラクターが付加されたようにしか思えません。そして本作が犯罪的なのは、前作では魅力的だった加藤あいをウザい女にしてしまったこと。どんな場所にもフラっと現れては、「私が私が」と騒いで場の中心に立ってしまう様は呆れるばかりでした。
【ザ・チャンバラ】さん [地上波(邦画)] 3点(2010-10-01 21:11:26)
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