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《ネタバレ》 劇中では明言されていないし、レビュワーのみなさんも指摘されていないのであえて言いますけど、エディって知的障害のある役ですよね。つまりモーズリーは、タイムリミットまでにある地点へ到着しなければならないことと、フォレス・ガンプを連れて敵から逃げねばならないことの二つのプレッシャーと戦わねばならないわけです。主人公にタイムリミットを課すアクション映画は多くありますが、その相棒が知的障害者という設定が本作の新機軸。もしこれをマーティン・ローレンスやエディ・マーフィーのような面白黒人の一種だと勘違いすると、単なる鬱陶しい相棒になってしまうわけです。。。本作のようなタイトな作品においては、職人監督リチャード・ドナーの手腕が冴え渡っています。アクションには緊張感が溢れ、ドラマも手慣れたものです。妙に感動させたり、登場人物達に立派なことを言わせたりなどせず、基本はあくまでアクション、ドラマはその合間に差し込む程度。演出は変に欲をかかず、しっかりとしたサジ加減で仕上がっている点が好印象でした。。。リチャード・ドナーのフィルモグラフィーを振り返ると、本作の出現は必然だったように思えます。70年代後半から90年代前半にかけてはハリウッドトップクラスのヒットメーカーだったものの、90年代半ばに彼の転機が訪れます。「暗殺者」「陰謀のセオリー」という気鋭の脚本家によるエッジの立った作品を、立て続けに台無しにしてしまったのです。それ以来、彼はハリウッドの第一線から離れました。自分の感覚が時代に合わなくなったことを察したのでしょう。そして、本当に久しぶりの監督作がこの「16ブロック」でした。ド派手な爆破や銃撃戦のない引き締まった70年代風アクションに、80年代に絶頂を極めたコミカルなバディムービーの要素を追加。21世紀の作品としてはかなり古臭い内容なのですが、これこそドナーの手腕を最大限に発揮できる企画でした。企画の趣旨通り、ドナーはこれに21世紀風のムダな装飾や小理屈を挟まず、贅肉のないシャープな仕上がりとしました。結末にしても、モーズリーを殺して締めるのが妥当な落とし所ですが、安易に彼を殺さず温かみのある結末とした意図的な時代錯誤ぶりも心地よかったです。人生最後の作品と決めて本作を監督したのではないか?そう思わせるほどドナーらしい作品でした。
【ザ・チャンバラ】さん [ブルーレイ(吹替)] 7点(2010-06-27 22:16:55)(良:2票)
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