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冒頭から驚きました。独特のメイクにケツ丸出しファッション、女性方はおっぱい丸出し(エキストラのみならず、ジャガーパウの奥さんのような重要な役柄に至るまで)、NHKスペシャルで見るようなジャングルの村がまんま再現されているではありませんか。これを演じているのはプロの役者さんなのですが、ジャングルで生活している人たちにしか見えません。映画であるからにはある程度綺麗に撮ろうとするものですよ、普通。おっぱいぐらいは隠すだろうし、少なくとも主人公にはかっこいいメイクをさせるものです。しかし本作はそのような映画的な修正を可能な限り排除し、徹底的にリアルに作り込んでいます。ここまで再現してくるとは思いませんでした。マヤの都市の作り込みも凄まじいものがあります。実物大セットとCGを見事に組み合わせた(実写とCGの継ぎ目がまったく分からないという完璧な完成度)都市の再現力は、私が見てきた時代劇の中でもトップクラスです。そこに生きる人々の描写も丁寧で、エキストラひとりひとりに至るまで衣装やメイクに手抜きがなく、画面に映る全員に対してきちんと演出が施されています。これ見よがしに巨大建造物を映し出す時代劇は多くありますが、そこに生活する人々を含め、都市の全体像を提示する映画はほとんど見たことがありません。しかも本作の舞台はマヤ文明。古代エジプトやローマのようにしばしば映画の題材になるような時代ならともかく、満足に映像化されたのは恐らく本作がはじめてです。そんな、参照すべき過去の作品もロクにない状態で、ここまでの完成度で過去の文明を描写してみせたことは驚異的と言えます。メル・ギブソンの監督としての才能と、優秀なスタッフを山ほど動員してきたプロデューサーとしての能力、どちらも大いに評価すべきでしょう。こうしてマヤの世界にどっぷり馴染んだところでいよいよ猛烈なアクションがスタートしますが、ここからはメル・ギブソンの才能がフルスロットル。ジャガーパウがゼロウルフの息子を殺した瞬間、「マジかよ」と場の空気が一瞬止まり、一呼吸置いてから追跡部隊が猛スピードで走り出すところからして燃えます。槍を持ってジャングルを走り回るだけのアクションをここまで面白く撮れるものかと、燃えっぱなし、驚きっぱなしでした。追跡者の動きを俯瞰で見せるカメラワーク等、ここでも優秀なスタッフに支えられていることがわかります。
【ザ・チャンバラ】さん [映画館(字幕)] 8点(2009-12-26 18:51:52)(良:2票)
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