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レビュー情報
《ネタバレ》 なかなか変わった切り口の映画で最後まで興味深く観ることはできたのですが、映画としての出来は微妙だったと思います。最大の問題点は、主人公が登場する小説の内容が観客に対して説明されていなかったということ。「几帳面な公務員が主人公の悲劇」という情報だけでは不十分で、このために作者と創作物が対話をするという本企画の趣旨が死んでしまっています。さらには、主人公の死によって美しい物語が完成するという構図を観客の頭の中に作り損ねているために、自らの死を受け入れたハロルドや、逆に小説の完成度を犠牲にしてでもハロルドを救ったカレンの決断の意義が薄れてしまっています。その他にも、前半のキーパーソンだったアナが、映画の核心に触れる後半では空気同然の存在感になるなど、構成上の不備がいくつも目に付きます。同様の趣旨を持つ企画だったチャーリー・カウフマン脚本の『アダプテーション』と比較するとアイデアもユーモアも不足しており、本作の脚本はもっと煮詰めるべきだったと思います。。。
マーク・フォースターによる演出も、真面目一辺倒で面白みに欠けました。この題材であればもっと個性を出すべきだったのに、フォースターは基本的に脚本を追いかけるのみ。ストーリーテリングにおいてもビジュアルにおいてもこれといった特徴がなく、凡庸な出来に終わっています。 【ザ・チャンバラ】さん [DVD(吹替)] 4点(2013-04-12 01:18:29)
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