| 作品情報
レビュー情報
小学生の時のレンタルビデオが初見でしたが、圧倒的な面白さに家族全員がテレビの前から動けなくなったことをよく覚えています。すぐに寝てしまう祖母も、30分もテレビを見ていられない妹も、2時間以上の長尺を微動だにせず見入っていました。当時の標準的な娯楽作よりも2つか3つぐらいレベルが上の作品だったと思います。製作から18年が経過し、娯楽作全体のレベルも進化している現在において見返しても十分面白いのですから、本作がいかに優れた作品であるかがわかります。役者もよくハマっています。第一作当時は無名だったシュワ氏もその後6年でコメディまでこなすようになっており、もう一度悪役をさせても前作同様のインパクトを残すことは不可能だっただけに、善玉に転換したことは良い判断でした。また、重い宿命を背負った人生を送り、前作とはまるで別人となったサラ・コナーをリンダ・ハミルトンが演じきっています。そして収穫だったのがエドワード・ファーロングで、輝かんばかりのルックス、大スター・シュワを相手にしてもまったく見劣りしない演技力と、これ以上望めないほどハマっています。…と、本作がきわめて優れた娯楽作であることは明らかなのですが、何度か見るうちに気になった点もいくつか。最大の問題はT-800を人間臭くしすぎたことで、良い子守りとなり、最終的には「行かないで、ロボット」までやってしまうのは違和感がありました(ファーロングの力により、陳腐にはなっていませんが)。その点でいえば、「サラを殺すもジョンを守るもプログラムが違うだけで、ターミネーターとしての本質は変わらない」という描き方だった第3作の方が合理的でした。また、核戦争を阻止すべくサイバーダイン社を破壊しにいくという展開は、さすがに話が飛躍しすぎです。ジョンの保護を任務としているT-800が、警官隊に囲まれ、T-1000が来ることも予想される襲撃にジョンを連れて行くことはありえないでしょう。自分の生みの親であるスカイネットの破壊に、ターミネーターが進んで手を貸すことにも違和感があります。「未来は自分の力で変えられる」というメッセージがラストに提示されますが、今の社会が続けば犯罪者の母親と不良少年にすぎないサラとジョンにとっては、予定通り核戦争が起こって人類の救世主となる未来の方が良かったんじゃないのとも思えるので、ハッピーエンドとも言い切れないモヤモヤが残ります。
【ザ・チャンバラ】さん [ビデオ(吹替)] 8点(2009-06-11 16:32:10)
ザ・チャンバラ さんの 最近のクチコミ・感想
|