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レビュー情報
監督のマーカス・ニスペルはMTV出身。新人監督らしからぬワガママぶりがシュワルツェネッガーの逆鱗に触れて監督デビュー作となる予定だった「エンド・オブ・デイズ」を降ろされ(この降板は正解だった?)、仕切り直しのデビュー作「テキサス・チェーンソー」で製作費の10倍を超える興行成績を叩き出した人物です。この経歴が示す通りホラーやバイオレンスを得意とする監督で、本作でも容赦のない残酷描写が炸裂しまくっています。手が飛び、首が飛び、目玉が転がる、もうやりたい放題です。そんな暴力三昧の一方で映像にはMTV出身らしい美学もあって、ひとつひとつの場面は美しくかっこよく撮れています。ちっちゃいリドリー・スコットといった具合でしょうか。そんな長所と同時にMTV出身ならではの限界も露呈していて、場面場面はかっこよくても活劇としての演出がなされておらず、見せ場が一本調子で手に汗握るものがありません。そもそもの構成の問題として、復讐劇と逃走劇という正反対のものを同時にやってはいけないでしょ。この倒錯した構成のために本作は観客の心を掴み損ねており、エモーショナルであるべき物語が空回りする結果となっています。さらにはドラマパートも弱く、己のアイデンティティに悩む主人公の葛藤がまったく描写できていなかったり、「ラスト・オブ・モヒカン」を思わせる劇中の三角関係が本筋にまったく絡んでいなかったりと、こちらでも消化不良を起こしています。
【ザ・チャンバラ】さん [DVD(吹替)] 4点(2012-01-19 00:06:38)
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