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《ネタバレ》 山田孝之と綾野剛という信頼できる俳優が出演した作品なので期待していましたが、相変わらずこの二人は最高でした。山田孝之演じる木島は正真正銘のクズ。人を轢き殺しても顔色一つ変えず、後悔も反省もない。遺族に対してすら居丈高な態度をとるという鬼畜ぶりで、おおよそ感情らしきものを持っていないモンスターなのですが、これを演じる山田がとにかく怖いのです。
他方、綾野剛演じる小林は一般人にも理解可能なキャラクター。彼自身に悪意はないのですが、あまりにも自分がなさすぎて木島の要求を断り切れず、毎度蛮行に参加させられてしまうというヘタレなのです。いい歳になっても学生時代の舎弟関係を引き摺ってる人たちにはこういうタイプが多いように感じますが、綾野剛のヘタレ演技が実に様になっていてリアリティがありました。地元にこういう人いるなと。 他方、堺雅人演じる中村の狂気は表層的であり、こちらには面白味を感じませんでした。被害者側では、遺族でありながら木島に媚びへつらうような態度をとる青木の方が面白かったです。よくよく考えると青木の設定にはリアリティがないのですが(実の妹を殺した相手に敬語使います?)、新井浩文による見事な小市民演技によりちゃんとしたキャラクターとして仕上がっているのだから大したものです。強面系の役者という印象の強い新井が小市民になりきっている点でも感心させられました。 監督の演出はかなり独特です。笑っていいのかよく分からない間でのギャグの挿入、本筋に必要とは思えないサブエピソードの積み重ねなど自由にやっており、この独特なクセを面白いと思えるかどうかが評価の分かれ目になると思います。私は面白いと思いましたが。 特に良かったのがラスト。木島との直接対決を終えて憑き物がとれた状態となった中村の横に、それまでいろいろと世話を焼いてくれていた元お見合い相手の運転する車が偶然通りかかります。新生活へと足を踏み出そうとする中村は彼女との関係修復も込みで車に乗せてもらうことを期待しているものの、元お見合い相手の方は中村の意思をまったく汲み取らずに走り去っていくまでの2人の噛み合わない会話が、とにかく最高なのです。これだけ暗い話なのに、最後の最後で大爆笑してしまいました。 【ザ・チャンバラ】さん [インターネット(字幕)] 7点(2017-01-29 19:53:21)
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