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《ネタバレ》 バリバリの娯楽アクションでありながらオスカー作品賞ノミネートという快挙を成し遂げた作品だけあって、面白さはズバ抜けています。この栄誉、公開当時はアンドリュー・デイビス監督の手柄とされていましたが、本作によりAクラス入りして後に撮った「チェーン・リアクション」「ダイヤルM」を見ると、やはりこれは実力以上の作品だったようです。真の功労者は、「ダイハード」でもジョン・マクティアナンに実力以上の仕事をさせた脚本家のジェブ・スチュワートでしょうか。「ダイハード」同様、本作も作りの精巧さが光っています。派手なアクションはあるもののご都合主義のウルトラCはなく、すべての行動が理にかなっているのです。またジェラード保安官の作り込みが素晴らしく(オリジナルのテレビシリーズでは感情移入しがたい人物だった)、「俺は無実だ」と言うキンブルに対し「知ったことか」と切り返す様は最高にかっこよく、また「ヘリを飛ばして、パトカーを2台よこせ。3キロ先まで封鎖だ」などと恐ろしく的確に指示を出す様は本物よりもプロっぽいわけです。キンブルを追う公権力の立場にいながら真実の究明についてフラットであり、キンブルの冤罪の可能性が高くなると、柔軟にその姿勢を変えるあたりも好印象でした。この役に巡り合えたトミー・リーは幸運だったと言えます。…と、すぐれた作品であることを前提としつつ難を言えば、前半のハイテンションな逃亡劇と比較して、後半の謎解きに入ると途端に作品の勢いが衰えることでしょうか。後半部分も通常の作品と比較するとそれなりのレベルを保っているものの、前半の圧倒的な面白さとの落差でどうしても見劣りしてしまいます。また、キーパーソンであるはずのニコルズ医師の存在感が驚くほど薄く(すべての黒幕なのに、特に印象に残らない素晴らしさ)、彼をより際立たせれば、ドンデンの衝撃度がより増したはずです。
【ザ・チャンバラ】さん [DVD(吹替)] 7点(2009-07-30 20:25:02)
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