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《ネタバレ》 1年に一度、12時間だけあらゆる犯罪が罪に問われないという着想は独創的で素晴らしかったし、年一度のガス抜きにより残り364日の治安が飛躍的に向上するという社会的な利点や、自己防衛手段を持たない弱者の間引き手段でもあるという裏の機能までがきちんと考えられており、突飛な基本設定でありながら、あの世界では受け入れられた法律であるということを観客に納得させるに至っている点でも感心しました。
ただし、良かったのは設定がテンポよく説明される冒頭15分のみであり、よくできた設定とは裏腹に本編の方はユルユルでガッカリさせられました。バカな奴がバカなことをしでかして事態が悪化していくという、この手の映画で一番やって欲しくない方法で物語が進んでいくため、いちいちストレスが溜まります。娘の恋人が突如親父に発砲してきた。さらには正体不明の人間が家に紛れ込んでどこに潜んでいるか分からないという状況で、娘が一家からはぐれてしまった。こんな逼迫した局面でありながら、残された一家はチンタラと会話をしたり、バラバラに行動して隙を作りまくったりで、見ていてイライラさせられっぱなしなのです。一刻も早く娘を回収して防御態勢を築くべき状況にありながら、一向にそれを実行に移さないというのはどういうことなのかと。 そもそも、一家の息子がホームレスを匿ったために惨劇が始まるのですが、あの子が見ず知らずの人を助けようとした背景がまったく描かれないため、「なぜそんなことを」と誰しもが思ってしまいます。本作では人命の扱い方がメインテーマとなっているにも関わらず、主要登場人物が元来それをどのように捉え、そして極限状態でどう変わっていったのかが明確に描かれていないためそこにドラマが発生しておらず、納得できなかったり、突飛に感じたりする展開が多くなっています。もっとも不自然に感じたのは主人公たる親父の心変わりで、このままではパージャーの群れに襲われてホームレスも一家も皆殺しにされるという状況下にあって、いったんはホームレスを突き出そうという意思決定を下すものの、直後にそれを覆します。この判断がどう考えても不合理であり、ショットガンや自動小銃で武装した十数人の若者を相手にした戦いに嫁・子供を巻き込んでまでホームレスを守ろうとした理由がサッパリわからないため、本編中もっともドラマチックであるべき箇所で疑問符の嵐となってしまいます。 【ザ・チャンバラ】さん [ブルーレイ(吹替)] 5点(2015-12-31 01:10:26)(良:1票)
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