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《ネタバレ》 オールスターキャストとは宣伝されたものの、出演者中本当にスターと言えるのはクルーニー、ピット、ロバーツ、デイモン、ガルシアの5人だけだし、その中でもデイモンとガルシアは久しくヒットがなくスターの座が危なかった時期にあり、本当にオールスターキャストと言えるのかどうかは疑問があります。一方で画面からは確かに豪華さが感じられたわけですが、これはキャストの力ではなくスタッフの実力によるところが大きいと思います。特にソダーバーグの貢献は大きく、インディーズ出身の彼にとって初のメジャー大作を任されたプレッシャーは相当なものだったはずなのですが、そんな中でも演出は非常に的確であり、時に余裕すら感じさせる素晴らしい腕前を披露。11人という大所帯チームが参加する犯罪計画は非常に複雑なのですが、流れるような演出と編集でこれを分かりやすく見せています。俳優達による軽快な絡みもうまく撮れていて、ケチの付けようのない仕事をしています。。。そんな監督の手腕にも関わらずこの映画が面白くないのは、脚本の出来がイマイチだったためでしょう。11人が参加する犯罪計画をわかりやすくまとめるという困難な作業に気を取られてしまい、各分野のスペシャリストである11人の特技を計画に活かすという重要な点が軽くなっています。まず、チームのブレーンを務めるのがオーシャンとラスティの二人なのですが、これはオーシャン一人でも務まります。ドライバーも二人は必要ないし、しかも高度な運転技術を要する展開がないため、二人とも必要なかったとも言えます。爆破担当とメカニック担当は通常であれば一人の人間がこなす役だし、スリの名人ライナスに至っては何のために存在しているのかがよく分かりません。そして、最大の問題がベネディクトの描写が浅いことで、観客が彼を敵として認識できるほどにダークな面が強調されていないため、オーシャンの計画に爽快感が不足する原因となっています。また犯罪者の妻だったテスがカジノ王であるベネディクトとどうやって出会ったのかも不明であるため(簡単に出会える相手ではありません)、テスとベネディクト、オーシャンとベネディクトの関係がはっきりしません。そのために、激しく憎んでいたはずのオーシャンの元に戻っていくテスの心境の変化もよくわからなくなり、見ようによっては感情的で頭の悪い女に見えてしまうという残念なことになっています。
【ザ・チャンバラ】さん [DVD(吹替)] 4点(2010-09-15 22:33:45)(良:1票)
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