コラテラル の はなぶさ さんのクチコミ・感想

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コラテラル の はなぶさ さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 コラテラル
製作国
上映時間120分
劇場公開日 2004-10-30
ジャンルアクション,ドラマ,サスペンス,犯罪もの
レビュー情報
《ネタバレ》  トム・クルーズの演じる孤独な殺し屋は,悪くない演技だった。髪を白く染め,グレーのスーツできめる彼からはロサンジェルスの高給取りを思わせるに十分な格好だ。だが,『レイ』で,アカデミー賞を獲ったという文句がついてまわるジェイミー・フォックスについては,一介のタクシー運転手という役柄には向いているが,殺し屋にはむかって勝つことができるほどの突発的な暴力を演じるには向いていない。ドライバー役に徹するのが関の山ではないか?女を殺し屋から守って撃ち殺せるほどのエネルギーを彼からは感じない。

 悪い役者ではないのかもしれないが,物語中で,彼をクルーズの代わりに,つまり殺し屋として雇用主の元に向かわせるシーンがあるけれど,雇用主は,フォックスから感じ取られる言いようのない凡庸さに,彼は嘘をいっていると見抜いてしまうだろう。それほどまでに彼は普通でありすぎるのだ。たとえば同じ普通の人を演じる日本の役者・浅野忠信は,普通の人が突発的な暴力に覚醒する瞬間を実に映画的にセンセーショナルに演じることができる。この映画は脚本がロクでもないせいもあるが,フォックスが警察の銃を奪って,殺し屋を殺しに行こうと考える瞬間の,思考の転換について観客が驚かさせることはない。

 物語はアラだらけもいいところで,殺し屋が自分の仕事に誇りを持つかのような台詞を吐くのなら,足がつきそうなタクシー運転手をいつまでも使わないことだ。『ヒート』のマイケル・マンは,善悪二つの対峙を描きたかったのかもしれない。けれど,そうすることによってリアリティを失うようでは何の意味もない。殺し屋が銃撃に自信を持つのは当たり前だ。だが銃の扱い方になれていない素人に,銃で負けるのであれば,向かい合って撃つシーンで殺されるなんていい加減な設定はやめて欲しい。仕事に必要な資料を,やすやすとタクシー運転手に奪われ,挙句の果てにそれを紛失されてしまうなど,やぼもいい加減にしないと観客の失笑を買うだけに過ぎない。こんないい加減な設定で,客を楽しませると考えているなら,マイケル・マンは最悪な監督だし,『ダイ・ハード』だとか『48時間』,『リーサル・ウェポン』だのといった娯楽アクション映画をもっと見習って欲しい。つまり,まともな物語を作れないのであれば,娯楽に徹せよということだ。気取った台詞や音楽など要らない。
はなぶささん [DVD(字幕)] 4点(2006-08-13 13:26:42)(良:1票)
はなぶさ さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2009-09-1320世紀少年5レビュー5.04点
2007-02-25武士の一分7レビュー5.99点
2006-09-03宇宙戦争(2005)5レビュー5.89点
2006-08-29ババァゾーン0レビュー2.87点
2006-08-13コラテラル4レビュー6.11点
2006-02-02バットマン ビギンズ7レビュー6.73点
2006-02-02電車男8レビュー5.87点
2006-02-01オリバー・ツイスト(2005)4レビュー5.55点
2005-11-21オールド・ボーイ(2003)6レビュー7.03点
2005-11-20スチームボーイ STEAM BOY6レビュー4.99点
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