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《ネタバレ》 ラブコメディとして十分に楽しむことができた。邦画の復活を印象付ける作品だ。「2ちゃんねる」の存在価値(「2ch」でなければならないか?)については保留せざるを得ないが、巨大掲示板の特性を活かした現代的な物語になっていることは好印象だった。映画では4組の「にちゃんねらー」が出てくるのだが、彼らの顔が見えて、「電車男」とやりとりしている姿を見ると、掲示板というよりチャットという感じがしてしまうのだが、結局彼らと「電車男」との距離は物理的には極めて遠い(というよりも距離が分からない)ということと、掲示板から出れば二度と会うこともないことを思えば、その違いはどちらでも良い。それよりも、物理的距離感がつかめる「エルメス」と「電車男」がいて、その「電車男」は、ネットの中での近しい距離感の中でコミュニケーションできる「にちゃんねらー」に相談して、現実を実体化していくという発想がなかなかいい。
それは、「エルメス」という物理的距離感にいる存在と、「にちゃんねらー」というネットの中の距離感にいる存在とがいて、「電車男」はその双方を行き来することができるが、「エルメス」はそうすることができない。彼女はパソコンのことがよく分からず(商社のエリート員という設定だからそんなはずもないがw)物理的な世界にだけ生きている。つまりネットの中の距離感を持っている「電車男」や「にちゃんねらー」は、現実を二つ持っているような感じだ。その中で、本名を伏せて、ネットの中の距離感を持ってネットサーフィンしている人々がいるのだ。普通はそこで閉じられた世界になってしまうのである。つまり、ネットとリアルとは関係を持たない。にもかかわらず持たせてしまうという事態に私は感心している。 「電車男」は、「にちゃんねらー」に相談する時、デート中でもネットカフェに行っており、その時は「エルメス」からあたかも隠れるように逃げている。これはなんだか「スーパーマン」や「バットマン」のような世界に似ている。やはり現実を二つ持たされているということなのかもしれない。 【はなぶさ】さん [映画館(字幕)] 8点(2006-02-02 00:37:29)
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