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「正義」やら「権利」は、初めからこの世にあったのではない。重力がニュートンに発見されるまでなかったように、遺伝子がメンデルに発見されるまでなかったように。「正義」や「権利」は多くの人々によって「発見」され「勝ち取られる」まで、この世に存在しなかった。つまり、「正義」や「権利」はその性格上、人為的・人工的な側面をもっているのだ。白人と黒人は、同じ前提を共有しながら違う結論をもっているのではなく、違う前提を互いにもっているから違う結論に至ったに過ぎない。そしてこの映画が描くのは、黒人の側の前提が勝利へと進む瞬間である。抑圧されていた黒人(ある意味敗者)が勝者へと変わり、勝者となった黒人の立場が道徳的に「正義」となる。僕たちはこの道徳の一揆が成功した後の世界に住んでいるのだ。ニーチェの洞察は恐ろしいほどにあたっている。体罰にたいし「基本的人権」を訴える人は、「基本的人権」を既成概念にするためにどのような戦いがあったのか、この映画を見て考えてみては?
【wunderlich】さん 7点(2004-09-14 12:24:33)
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