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成瀬映画の中で三船敏郎が見られる。滅多にない光景である。そんな三船敏郎の黒澤映画では見られない別の魅力がここでも観られるだけで嬉しかったりもする。しかも、三船敏郎だけでなく千秋実の姿まで観られて、それに成瀬映画の常連加東大介とまるで「七人の侍」でも観ているような感覚にもなり、そういう意味でも貴重であり、嬉しい。話としては相変わらず成瀬映画らしくて、男の駄目ぷりと女の強さが描かれている。主演の高峰秀子に関しては文句なしです。妻の気持ち、心の病、苦しみの中で女としての葛藤をけして、大げさに演じることなく見せる上手さ、高峰秀子あればこそ成瀬監督の持ち味が発揮され、その反対のことも言えるのである。女優陣に関してもう一人、暗くなりがちな中で笑顔が魅力的杉葉子もこれまた良い。成瀬映画としてはドロドロした凄みというもの、メロドラマとしての凄さもあまり感じられないし、物凄い傑作でもないものの、相変わらず映し出される風景の美しさには眼を奪われそうになるぐらいの良き日本の姿がこの作品にも見られる。そういう美しさを見るたげでも見る価値十分である。
【青観】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2008-09-13 14:29:50)
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