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人類の滅亡が、子供が生まれなくなることによって生じるという、この映画の最大の強みが最後まで映画全体を牽引し、見事な感動SF巨編に仕上がったと思う。SF巨編といっても、アルマゲドンなどのようにお粗末な作り方がされていないのは、やはり秀逸な長回しのカメラワークによるところが大きいような気がする。確かに、長回しを多用し、リアルタイムに主人公の視点を追うという試みには、物語の細部において消化不良というか説明不足な点が多々出現する。しかし、その部分が脆弱になっていないのは、カメラの息づかいに主人公と我々観客の息づかいが呼応して生まれる、ある種の臨場感によるところが大きいと思う。そうした臨場感によって我々は状況がよく飲み込めないにもかかわらず、いきなり戦場に放り出された主人公に思わず自分を重ね合わせてしまう。つまるところ、この映画の秀逸なカメラワークにはマイナス面を払拭し、SF的な世界へと我々を引き込む力があり、それに加えてセットなどの美術面でのこだわりがより一層この映画の世界観の構築に強度をもたらしているのである。また、この映画の設定のシンプルさと意外性は、全人類に問題を突きつけるとともに、新しい命の尊さを実感させると言う効果を発揮している。よって、テーマ的には非常に奥が深いものの、それが前述したように、カメラワークと伴い、スピーディにリアルに、そして実にSF的に描かれている。とにかく、物語設定と技術面において非常に高度な次元での融合が成し遂げられている恐るべき映画である。
【ジャザガダ~ン】さん [DVD(字幕)] 9点(2007-04-22 05:28:05)
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