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SWとIJシリーズ、そしてBRを除けば、ハリソン・フォードの最も重要な作品、ピーター・ウィアーの品のいい演出が冴える。 サスペンス部分は映画としての体裁と米国人のブックを特殊な世界に投入するための道具立てにすぎないのだろうが、そこもよく出来ている。 見所はなんとも牧歌的で質素なアーミッシュの生活と、その中で移りゆくブックとレイチェル、村人の感情。 殺伐とした外界から隔絶され自然に即した村の17世紀さながらの世界にしばし憩う。 多かれ少なかれ人工的な環境の中にいる現代人が、彼らのプレーンな暮らしぶりに憧れを抱いても不思議ではないだろう。 村人総出の納屋の建設、カーラジオの音楽に誘われてのダンスも魅力的な場面。 洗練されすぎておらず大工の腕もあるフォードはこの世界に違和感なくなじみ、ケリー・マクギリスも通常の美人タイプでないのがよく寡黙でも目で語る。 やりすぎるということをしないウィアーが彼らが結ばれるシーンをカットしたのは正解な気がする、道で抱擁する場面だけで十分だからだ。 子役には興味が少ないがこのルーカス・ハースは静謐な面持ちがよかったし、アカツメクサが咲き匂う中での少年との無言の別れは静かに心にしみ、老人が仲間としておくる言葉に笑みがこぼれる。 寂しさが残る別れだが抜かりなくフォローがされ、時がたてば彼女はダニエルを受け入れるのだろう、ブックのことは忘れずとも、ということがわかるのだ。 モーリス・ジャールの澄みわたるシンセも映画を忘れがたいものにする。
【レイン】さん [映画館(字幕)] 9点(2010-07-06 00:10:16)(良:2票)
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