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《ネタバレ》 まるで寓話小説でも読んでいるような気分になる本作は観賞後、ナーバスになり胸にもやもやが残る。それというのも抉り出された人間の醜悪さを自分自身の中で照らし合わせているからだ。私も村人のように確立されたコミュニティに得体の知れぬ部外者が侵入したら恐れとは言わないまでも警戒心を抱くと思う。またトムのように良識派の顔をしているが、良心とは別に物事を万事円滑に運びたいという自分本意な願望もその裏側には隠れている。さらにグレースの立場となれば一連の仕打ちに対する怒りで村を消し去りたいという衝動に駆られ、実行された時には安堵感や爽快感を覚えてしまう。だが、冷静になって考えてみるとレイプした者たち以外の人々は罪を犯しているのか疑問が湧き、さらには仮に罪であったとしても死をもって償うほどの重罪であったのか苦慮する。そのうえ人を人が裁くという行為自体にも違和感を抱く。そして様々頭脳で判断するのとは別に感情的な部分で胸騒ぎが始まり心に不快さや嫌悪感が充満する。それは己の偽善や傲慢さが暴かれそうなので湧き上がる感情かもしれない。舞台装置のような斬新なスタイルが、あたかも実験用マウスになったかのような心持ちにさせ一層不安にさせる。…このように思った時点でこの映画の狙い通りなのかもしれないと考えると恐ろしく巧妙な出来映えだと思う。・・・しかし、しかしだ。こんなことで呼び起こされなくとも自分の心に潜む邪悪な部分には十分に気付いているわけで、臭いものには蓋をし続け(この言い回しは語弊があるかもしれないが)、息苦しくならないように、正常さを保てるように暮らしている。それをわざわざ蓋を開け顔を突っ込まされるのは趣味が良いとは思えないのだ。もちろん個人的な好みによるものと思うが、点数は2点ばかり引かせてもらう。・・・って、この行為も偽善かもね。もう分ら~ん!
【ミスター・グレイ】さん [DVD(字幕)] 7点(2007-02-02 18:24:39)
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