ロード・オブ・ウォー の パブロン中毒 さんのクチコミ・感想

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ロード・オブ・ウォー の パブロン中毒 さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 ロード・オブ・ウォー
製作国,
上映時間122分
劇場公開日 2005-12-17
ジャンルドラマ,サスペンス,犯罪もの
レビュー情報
《ネタバレ》 ユダヤ人のふりをしてソ連から移住してきたというオルロフ一家は、家名からして偽名、最初からウソを背負っているわけだ。ユーリの父は、ウソと事実の隙間を少しでも埋めようと、熱心なユダヤ教徒になる。ウソの量の多さに耐え切れないということだ。
しかしユーリは違った。ウソを空気のように吸って育った彼には、ウソに対するアレルギーなど全くない。誰もがウソをつくのが当たり前で、自分もウソをつくわけだから、他人にウソをつかれても本心からは怒らない。彼は長じてシニシズムの権化のような人間となり、ウソの上に築かれた関係こそうまくいく、という信念を持つに至る。本作では、これが死の商人ユーリを成立させた背景とされている。
当然女を落とすのもウソを利用するわけだから、妻に対してもウソをつきつづけ、貧乏移民の子としての本当のユーリの姿をさらすことができるのは、弟の前だけだ。それが「戦友」という弟との呼び交わしの意味である。
いついかなるときもシニカルなユーリは、判断を誤ることがない。それで銃弾が飛び交う現場へ行っても、余計なトラブルに巻き込まれず常に生き延びる。そんなユーリの負の部分を引き受けてしまったかのように、弟ヴィタリーの精神状態はおかしくなっていく。
妻エヴァに「なぜ商売をするのか」と問われたユーリの答えは、「俺には才能があるからだ」というものだ。ウソに対する抵抗がなく、ウソとウソの間を自由自在に泳いでいくことができる、それが非合法な武器商売に必要な「才能」であり、自分にはそれがある、ということだ。「才能」があるから、それを生かしたくなる、それが「ネイチャー」というものだ、とユーリはいう。
しかし、さしものユーリも妻のウソだけは見破ることができなかった。これで万事休す、と思ったら間違いで、監督アンドリュー・ニコルは、薄っぺらい勧善懲悪ドラマなどは排している。
ニコラス・ケイジは好演していて、ラストのイーサン・ホークとのやりとりでは寒気がするほど鬼気迫る。逆にイーサン・ホークは単なる正義派の刑事の枠を超えず、人物に幅がない。
もともとそういう目的で作られたとはいえ、ラストで常任理事国の国名を並べて非難するなどは、映画としての出来を損ねる気がして残念だ。政治的メッセージをあからさまに出すのはいつでも逆効果と思うのだが。
パブロン中毒さん [DVD(字幕)] 7点(2007-02-24 15:58:46)(良:3票)
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投稿日付邦題コメント平均点
2012-06-13オアシス8レビュー7.34点
2012-05-20フィリップ、きみを愛してる!8レビュー5.88点
2012-05-20瞳の奥の秘密7レビュー7.27点
2012-05-13渇き(2009)8レビュー6.35点
2012-05-05プレシャス8レビュー5.66点
2012-04-10シェルター5レビュー4.50点
2012-04-06人生万歳!7レビュー6.75点
2012-01-15ブエノスアイレス9レビュー5.84点
2012-01-03ハンサム★スーツ5レビュー5.95点
2011-12-19リダクテッド 真実の価値5レビュー5.94点
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