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《ネタバレ》 これはどう見ても女医さんはまともな精神状態じゃないですね。
だいたい己の意に反する他人とは、まともに会話すらしないという傲慢ぶり。 こんな人が精神科医でいいのかなあ。 コーラというのはイタリア人だけどフランス出身で、なぜか両親が居なくて祖父に育てられたというご都合な設定からすると、「私もいつも居場所が無いような気がして居心地が悪かったの」ということでしょう。 それでロアと接するうちに、ロアの中に「コーラの中でずっと泣いていた内なる子供」を発見し、ロアを治すことで自分を癒したい願望を満たしていた代償行為だったというところでしょう。 だから異常なまでにロアに執着する。ロアが消えたことで、自分の一部が無くなったかのような不安を感じた。 だけどもロアにはロアの人生があり、ときどき出奔するのも発狂するのも日常の一幕だった。 アイスランドに上陸してからの異常なまでに敵意むき出しなコーラの態度と、淡々と日常生活を営むロアを比べると、どっちがより病人だかわかりませんね。 コーラが本当に求めていたのは「私は居場所がなくていつも日陰にいたの。だから私を治して。私を癒して」ということだったんです。ラストの2人の日向ぼっこの時点でコーラはやっとそのことに気付く。実はロアのほうがコーラを心配していたこと、一緒に連れて行ってというのは、コーラが心配だからだったなのよね。 コーラという人物についてあまりにも説明がなく分かりづらいので、日向ぼっこの場面でじわじわと感動を呼ぶためには「本当は傷ついて歪んだ自己を抱えるコーラ」を表現する何かが欲しかったところだ。それがないので島でのコーラの傍若無人で不遜な言動が「フランスで大学を出ているという単なるエリート意識」とも受け取れてしまう。 淡々としたシンプルな演出には好感が持てるが、もう一歩迫力に欠ける惜しい作品だ。 【パブロン中毒】さん [DVD(字幕)] 6点(2006-10-17 21:22:09)
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