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ジュリー(演じる教師)は全くやる気がなくなってやさぐれた精神状態の中年男である。それはなぜでしょう。答えは「資本主義」の毒にやられてしまったからです。
そういった視点から見ると、これは個人的な問題なのに、実は個人的な問題でない。 「PINK」という岡崎京子の漫画を思い出す。 それは確か「資本主義に負けてしまった女の子の話」と作者が言っていた。深く納得。 この作品のジュリーも「資本主義」の毒と闘っていた男なのだ。そして刀折れ矢尽きる寸前に天啓のようにある方法を思いついた。 そして彼の見つけた「個人VS資本主義」の闘いに勝つ究極の方法は、「オカネ」を用いずして他人より優位に立ち、己の要求を通すという方向性のものであった。と、私は思っている。いっぽう「PINK」の女の子は、「自分の持ち駒のうち、需要があるものを売る(普通の人はそれを売らないが)」という最も「資本主義」を全うする道を自ら選び歩んでいるのだが、ここに、「資本主義に何の疑問も抱かずこれを全うするあまりに、人間性や尊厳を失う」という問題が当然生じてしまったわけだ。作者の岡崎はもちろんこの「純粋すぎる資本主義」を肯定せず、「PINK」の主人公には思いもよらぬ不幸が突然訪れるが、本人がそれを知らぬうちに幕は閉じる。 「お金があればなんでも買えて楽しい」と「お金が(充分に)ないからなんでも買えるわけじゃなくてみじめで不幸」の間にある広い川の途中のどこかで、資本主義国に生きる誰もが「資本主義」と闘っている。 たいていの人は「資本主義」と折り合いをつけて(またはあきらめて)老いて死んでゆくが、時には特異な闘い方を発見する者たちがいて、それが「太陽を盗んだ男」でもあり、一方には「PINK」の主人公が存在する。両者は同じ戦争を別の方法で闘っていただけなのだ。 私とて、できることならお金の事を考えないで一生暮らしたい。 野球中継がいいとこで終わるとき、この映画を思い出すなあ。 【パブロン中毒】さん [ビデオ(吹替)] 6点(2006-07-18 23:48:35)
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