ハーヴェイ・ミルク の パブロン中毒 さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > ハ行
 > ハーヴェイ・ミルク
 > パブロン中毒さんのレビュー
ハーヴェイ・ミルク の パブロン中毒 さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 ハーヴェイ・ミルク
製作国
上映時間87分
ジャンルドキュメンタリー
レビュー情報
《ネタバレ》 84年のアカデミー賞ベストドキュメンタリー受賞だそうです。
ハーヴェイの生い立ちに詳しく触れていないとか、彼の政治活動について通り一遍の説明しかしていないとか、彼の恋愛関係について全く触れていないとか、金銭問題はなかったのかとか、ドラッグはやっていなかったのかとか、消化不良の点はいっぱいあるが、まあこれは殺されてしまった哀れなハーヴェイへの追悼映画、ということである程度美化されても仕方ないのであろう。美化することで、実物よりもつまらないハーヴェイ・ミルクになってしまったのではないだろうか。
申し訳ないけど私はハーヴェイ・ミルクよりもダン・ホワイトにほうに、激しく興味が湧く。
私なりにダン・ホワイトの犯行を分析してみますと、これは「失敗した無理心中」ですね。
ダンは市長とハーヴェイを道連れに死のうとしたのです。
彼は「世界が終わった」と感じ、1人で死ぬことができずに無理心中しようとしたのだった。
見るからに虚勢を張っていて、建て前ときれい事しか言えず窮屈で余裕のなさそうな、まさにコロンボドラマの犯人役に出てきそうなダン・ホワイトにとって、何が「世界の終わり」なのかというと、「家庭の崩壊」です。
具体的には、妻から離婚を迫られたのです。
理由にはいろいろな可能性があるが、たとえば、言いなりの条件で離婚に同意しなければ、妻への暴力について被害届を出すと脅されたら、元警官のうえ有名人である彼は相当追い詰められたのではないか。
妻に捨てられたという事実は、ダン・ホワイトにとって決して他人に知られたくない恥部なので、自ら語ることは絶対になく、こうなった以上は妻も隠すでしょう。
実際にダンは85年に自殺したそうですから、もともと「自殺志向」だったのです。
また、ダンはハーヴェイ個人を嫌っていたわけではないと、私は思う。「自分に対していつも誠実(オネスト)に接してくれた」と言っている。
けれど、学歴でも収入でも人気でも〝恥ずべきゲイ〟であるはずのハーヴェイより劣ることになったとき、ダンが唯一勝てるものだった「ファミリー」が崩壊して、彼の中で「世界」は終わったのです。たぶん。
ダンの妻がインタビューに応じたこと自体が不思議であり、なにか自分の「アリバイ作り」的なものを感じるし、妙に落ち着いていて怖かった(分かる人は分かるよね)。
パブロン中毒さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2011-02-03 15:47:40)
パブロン中毒 さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2012-06-13オアシス8レビュー7.34点
2012-05-20フィリップ、きみを愛してる!8レビュー5.88点
2012-05-20瞳の奥の秘密7レビュー7.27点
2012-05-13渇き(2009)8レビュー6.35点
2012-05-05プレシャス8レビュー5.66点
2012-04-10シェルター5レビュー4.50点
2012-04-06人生万歳!7レビュー6.75点
2012-01-15ブエノスアイレス9レビュー5.84点
2012-01-03ハンサム★スーツ5レビュー5.95点
2011-12-19リダクテッド 真実の価値5レビュー5.94点
ハーヴェイ・ミルクのレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS