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《ネタバレ》 84年のアカデミー賞ベストドキュメンタリー受賞だそうです。
ハーヴェイの生い立ちに詳しく触れていないとか、彼の政治活動について通り一遍の説明しかしていないとか、彼の恋愛関係について全く触れていないとか、金銭問題はなかったのかとか、ドラッグはやっていなかったのかとか、消化不良の点はいっぱいあるが、まあこれは殺されてしまった哀れなハーヴェイへの追悼映画、ということである程度美化されても仕方ないのであろう。美化することで、実物よりもつまらないハーヴェイ・ミルクになってしまったのではないだろうか。 申し訳ないけど私はハーヴェイ・ミルクよりもダン・ホワイトにほうに、激しく興味が湧く。 私なりにダン・ホワイトの犯行を分析してみますと、これは「失敗した無理心中」ですね。 ダンは市長とハーヴェイを道連れに死のうとしたのです。 彼は「世界が終わった」と感じ、1人で死ぬことができずに無理心中しようとしたのだった。 見るからに虚勢を張っていて、建て前ときれい事しか言えず窮屈で余裕のなさそうな、まさにコロンボドラマの犯人役に出てきそうなダン・ホワイトにとって、何が「世界の終わり」なのかというと、「家庭の崩壊」です。 具体的には、妻から離婚を迫られたのです。 理由にはいろいろな可能性があるが、たとえば、言いなりの条件で離婚に同意しなければ、妻への暴力について被害届を出すと脅されたら、元警官のうえ有名人である彼は相当追い詰められたのではないか。 妻に捨てられたという事実は、ダン・ホワイトにとって決して他人に知られたくない恥部なので、自ら語ることは絶対になく、こうなった以上は妻も隠すでしょう。 実際にダンは85年に自殺したそうですから、もともと「自殺志向」だったのです。 また、ダンはハーヴェイ個人を嫌っていたわけではないと、私は思う。「自分に対していつも誠実(オネスト)に接してくれた」と言っている。 けれど、学歴でも収入でも人気でも〝恥ずべきゲイ〟であるはずのハーヴェイより劣ることになったとき、ダンが唯一勝てるものだった「ファミリー」が崩壊して、彼の中で「世界」は終わったのです。たぶん。 ダンの妻がインタビューに応じたこと自体が不思議であり、なにか自分の「アリバイ作り」的なものを感じるし、妙に落ち着いていて怖かった(分かる人は分かるよね)。 【パブロン中毒】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2011-02-03 15:47:40)
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