| 作品情報
レビュー情報
《ネタバレ》 人物造形が的確。各人がどのように考え、どう振舞うか理解し易く、物語の流れに合点がいきました。人がきちんと描かれている映画は好きです。では内容について感想を。主要キャラは、恋愛成就組と失恋組に分けられます。前者と後者の違い。それは“実力”の有無だと思いました。魅力と言い換えても構いません。蟹江には枯れ男の哀愁と弾き語りのスキルがあった。ココリコ田中は自然体の生活様式が素敵。木村もその美貌と独特のセンスが光ります。弱みの在る人間ばかり。でも、それを補う実力が他者を惹き付けた。一方、失恋組はどうでしょう。岡田の優しさは長所です。でも自己保身の術でもある。故に対人関係の踏み込みが浅い。荒川は大きな子供。幼稚な自我が勝っている。人として薄いです。でもだからと言って岡田や荒川がダメだとは思わない。自分も完全に後者タイプの人間ですし。小倉一郎の説教、「若者はギラギラしてなきゃダメ」は正論っぽいけど真っ平御免。だけど彼らを「全然大丈夫」と言い切ってしまう事にも躊躇いがある。「全然大丈夫」って言葉、額面どおり受け取って本当に大丈夫?例えば「毎日1杯のコーヒーを我慢するだけで人生が潤うんですよ。ローンなんて全然大丈夫」とか。ストレスで押し潰されそうなサラリーマンが口にする「全然大丈夫」とか。大丈夫と言われれば言われるほど、実は危うかったりする。ラストエピソードの地、奈良。観光客である岡田と荒川、そして其処に根を下ろしている田中夫妻の対比。観光として奈良を楽しむことと、生活して奈良を味わうことは違う。生き方も同じ。2人がこのままビジターの幸せを望むなら、今のままで多分大丈夫。でもそうでないなら、少し危機感を持ったほうがいいかもしれない。自分が変わらなきゃ、人生は変わらない。2人はこれからどんな生き方を選ぶのでしょうか。
【目隠シスト】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2009-03-28 21:29:20)
目隠シスト さんの 最近のクチコミ・感想
|