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《ネタバレ》 主人公家族は身分を偽り富裕層一家に取り入りました。労働の対価として報酬を得ているものの、正当な見返りとは言い難いため確かに『寄生』とみなすことが出来そうです。宿主に覚られず、こっそり生き血を啜るのが寄生の本流でしょう。しかるに本ケースでは寄生者が宿主を殺害しました。寄生虫の中には宿主を殺す捕食寄生というものがあるそうですが、今回は違います。何も利益がありません。ただ感情のままに殺したと。理由は『自尊心を傷つけられたから』。これは半分正しく、半分間違っていると考えます。いくらプライドを傷つけられたにしても、普通なら一発殴れば済む話ですから。
父が凶行に及んだのには大きく2つ理由があったと思います。1つ目は『スイッチが入った』から。大量出血する我が子の姿を目の当たりにして、父の脳は「戦争」モードに切り替わりました。これはある意味当たり前の話。自己防衛は本能的にも社会的にも認められた権利。ただここで面白い現象が起きました。怒りの矛先は加害者ではなく富裕層一家に向けられました。ここで2つ目の理由『感情のすり替え』が登場します。いわゆる吊り橋効果に同じ。加害者に向けられるはずの殺意を富裕層一家に転嫁した訳です。普段から富裕層一家に対して負の感情を溜め込んでいたからこそ起きた「必然のすり替え事故」と言えましょう。身分と感情のすり替えが産んだ悲劇でした。富裕層一家にしてみれば、完全なもらい事故でお気の毒としか言いようがありませんが、サバを酢で締めもせず常時刺身で食べていたら、そりゃねえという話。ですから悲劇の理由を、貧富の差だとか社会システムの弊害だとかに求めるのはお門違いという気がします。単純に危機管理が甘かっただけ。寄生虫が疑われる食材は、きちんと処理しないと危険ですよという教訓と理解します。きちんと知識のある人が料理した刺身やお寿司を食しましょう。あとしっかり噛むのも寄生虫対策になるそうですよ。 【目隠シスト】さん [インターネット(吹替)] 7点(2022-10-08 18:46:07)(良:1票) (笑:1票)
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