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《ネタバレ》 今までいくつか観てきたなかでいえば、ポン・ジュノ監督はどうもある種の反骨精神の持ち主らしく、教授や司法家など、世間的に地位の高い者や権力を持った者を大抵くそみそに描く。そのペンとカメラでの裁きっぷりは容赦ない(何かトラウマでもあるのだろうか?)。本作でも、杜撰な捜査をする警察や、弱い者いじめの強い人間たちが出てくる、出てくる。嫌らしい大人のオンパレード。そんな社会じゃ弱者は救われず、貧しい少女は身売りまがいのことをしなければならないし、愚者はあくまで利用される。だからこそ母は強くなり、弱者である息子のために奔走する羽目になるわけだが…。結局この作品で一番不幸だったのは、正直者のおじさんと、罪がないはずなのに少女の鼻血によって捕まった少年。二人に「母」はなく、救ってくれる者はなかった。当初は「可哀相」だったはずの母子は、他人を「可哀相」にして、自分たちは助かってしまう。庇い合える存在さえいてくれたら、人は何とかなるってことか。それにしても、本当の意味では救われない作品。ミステリーではあるけれど、謎解き的な要素より人間の光と影というか、そういった部分が面白かった。しかし、様々な伏線をきちっと収束させる手腕もお見事。貧しいはずなのに湯水の如く湧いて出るお金については目を瞑ろう。
【よーちー】さん [映画館(字幕)] 8点(2009-11-01 20:26:38)(良:2票)
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