ヘンリー&ジューン/私が愛した男と女 の トント さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > ヘ行
 > ヘンリー&ジューン/私が愛した男と女
 > トントさんのレビュー
ヘンリー&ジューン/私が愛した男と女 の トント さんのクチコミ・感想
作品情報
レビュー情報
《ネタバレ》 破滅の美というのが映画のジャンルとして確かにある。多くはラストが悲劇的である。それを観て、散りゆく花の一瞬の美しさに我々は安全地帯から酔う。しかし我々はその代償としてナニモノでもない。この映画もそうである。不倫の官能に堕ちていく男女の作家は、自分たちの遍歴を何らかの形でそれぞれ文章にするということで大作をモノにする。そうではあるが、やはり退廃である。映画の主人公たちは、文章にするという秩序立てで、とりあえず乱れた生活の中で精神状態を保ってはいる。しかし作家ならいいが、これが家族ならたまったものではない。それでも女性作家の旦那は、銀行家という職業のせいか、どこか鈍い。しかし男性作家の妻は、旦那の写し鏡のごとく、乱れた生活の中にいて、逃げ出しはするが、それでも戻ってきた時は、文字にするという身の処し方を知らぬ故、混乱する。監督のカウフマンは自分はお気に入りの作家だ。「存在の耐えられぬ軽さ」で退廃の人生を描いた彼は、ここではもう悲劇の行方までは細かく描かない。それよりも作家であることで、何とか立っている女性作家の妖しげな美しさを丁寧に描いてる。カウフマン監督作品の佳作さが残念だ。もっと彼の真骨頂の作品を観たかった。しかし彼もこのような退廃の美を描くなかで、自分を見失ってしまったのかもしれない。
トントさん [ビデオ(字幕)] 7点(2016-09-19 08:54:58)
トント さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2025-02-07パリ、テキサス8レビュー7.69点
2025-02-05浪花の恋の物語8レビュー7.36点
2025-02-03安城家の舞踏会7レビュー6.93点
2025-02-01出来ごころ8レビュー8.22点
2025-02-01レ・ミゼラブル(2012)7レビュー6.94点
2025-02-01古井戸7レビュー6.00点
2025-01-26東京物語7レビュー8.12点
2025-01-21ヴェラクルス7レビュー7.04点
2025-01-19恋愛睡眠のすすめ8レビュー5.45点
2025-01-19チャーリング・クロス街84番地8レビュー7.83点
ヘンリー&ジューン/私が愛した男と女のレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS