地下水道 の S&S さんのクチコミ・感想

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地下水道 の S&S さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 地下水道
製作国ポーランド
上映時間95分
ジャンルドラマ,戦争もの,モノクロ映画
レビュー情報
《ネタバレ》 タイトルバックの市街破壊映像からすごい迫力、戦後12年しか経っていない頃だからこういう撮影も出来たのかな。蜂起鎮圧の後にヒトラーの命令でワルシャワは徹底的に破壊されてしまったので、こういう爆破できる廃墟がまだ残っていたんでしょうね。市街のシーンはロケ撮影だが、瓦礫の山と化したような道路や地面にはまるで雪が降り積もったように白いものが目につきます。この白いものが一面に散らばる光景は前にどこかで観た気がするなと考えたら、それは9.11でワールド・トレード・センターが崩壊した時の映像に映っていたものでした。そう、それはビルの破壊で飛び散った大量の紙類だったんですよ。その視点から観ると、市街において建造物が破壊されるとどういう状態になるかをリアルに描いていたわけです。 前半は70人が40人にまで減ったレジスタンス部隊がビルの廃墟に陣取って戦闘を繰り広げます。女性を交えた部隊の中の8人に焦点をあてたストーリーテリングですが、確かにそれぞれのキャラの掘り下げ方はちょっと浅かった感は否めません。けっきょくドイツ軍は攻めきれずに包囲に移行するわけですが、ドイツ軍が有線操縦爆薬であるゴリアテを使うところが面白い。まあ実物ではなく明らかにレプリカでしたが、爆発する前にケーブルを切断されて役立たずにされしまいます。部隊の中に音楽家が一人紛れ込んでいるのですが、演じているのがヴラデク・シェイバル、60年代以降に『ロシアより愛をこめて』やハリウッド映画に出演している爬虫類顔が印象的な俳優です。彼は初めから西側の人でなく、共産主義体制のポーランドから逃げてきたんだと初めて知りました。このキャラは『戦場のピアニスト』のシュピルマンを彷彿させるところがあります、きっと彼がモデルなんでしょうね。 けっきょく司令部の命令で部隊は拠点を捨てて市街中央に移動することになりますが、そのルートは地下水道、というか下水道を通って行くしか方法がない。地下水道を通らなければいけないと知った時の隊員たちの絶望の表情は、その後の悲惨な運命を予告しているかのようでした。その地下水道内のシークエンスは数ある戦争映画の中でも屈指の悲惨さで、とくにやっと川への放水口にたどり着いたと思ったら、頑丈な鉄格子に阻まれて外に出れない絶望感にはクラクラします。ラスト、部下を連れて来れなかった隊長がせっかく脱出できたのにまた地下水道に戻ってゆくところは、虚無感と絶望が混じった名シーンだったと思います。
S&Sさん [CS・衛星(字幕)] 7点(2025-02-07 23:14:54)★《新規》★
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投稿日付邦題コメント平均点
2025-02-07地下水道7レビュー7.44点
2025-02-04ウォール街8レビュー6.49点
2025-02-01ガメラ対大悪獣ギロン3レビュー4.68点
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2025-01-16ザ・ベイ4レビュー6.11点
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