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宮沢賢治は児童文学の巨匠とされるが、「児童」の頃何作か読んだ印象としては、筋は追えるものの、感性的に難解でひどく置いてけぼり感をくらうイメージが強く、この映画の原作も、その例に漏れなかった。長じてからストーリーをぼんやりとしか覚えていない状態で本作を鑑賞したわけだが、意外なことになんともすんなりと世界観が入ってきたのである。またこれも意外だったのだが、この「猫」のアレンジで感情移入しやすくなってたのにも驚いた。鑑賞後、原作を読み直した。映画はなかなか忠実に、そして実に解りやすく世界観が映像化されてるのが解った。あの置いてけぼり感はもう無かった。そして何作か他の宮沢作品も読み返してみた。のめりこんだ。私は宮沢賢治の童話は「大人のための童話」なのだと思う。無論感性の強い子供が読んでも入り込めるのだろうが、大人が触れるとあの世界観がまた違った感覚で入ってくるような。この映画は原作を愛する人のイメージを損ねずかつ、作品を解りやすくするという、ある意味での「映画」としての機能を果たしている作品のように思う。宮沢賢治の世界への「導入」として打ってつけなのではないか。子供も大人も、宮沢作品をどこか敬遠している人に、かえって勧めてみたい映画。
【あっかっか】さん [地上波(邦画)] 7点(2009-03-27 13:12:09)
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