クワイエットルームにようこそ の BOWWOW さんのクチコミ・感想

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クワイエットルームにようこそ の BOWWOW さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 クワイエットルームにようこそ
製作国
上映時間118分
劇場公開日 2007-10-20
ジャンルドラマ,コメディ,医学もの,小説の映画化
レビュー情報
《ネタバレ》 かつて爽やかで健康的なアイドルとしてTENKAをとった内田有紀を「鬱陶しい女」役に起用する底意地の悪い松尾スズキに対し、正々堂々真っ向から受けて立つ内田有紀が頼もしい。おかしな連中ばかりの入院患者たち。その中で主人公明日香は自分と同じ頭のまともな人間を二人、嗅ぎ当てる。正常であることを証明するように退院していく栗田と、拒食症の少女ミキだ。栗田は、退院記念にみんなから貰った寄せ書きや連絡先は病院を出たら全て捨てる、と明日香に打ち明ける。「シャバに戻るっていうことはそういうことよ」それが健康に退院する彼女にとっての暗黙のルールなのだろう。それでも(頭のまともな)あなただけは別だとメールアドレスを書いたメモを渡す栗田に、明日香は喜ぶ。携帯電話を持ち込めない病院では役に立たないメールアドレス。自分も栗田のように退院してシャバに戻った時に初めて意味をなすそれは、明日香にとってお守りのようなものだ。だが、自分たちだけがまともだと信じる明日香がやがて嫌でも気づかされるのは、共に残ったミキがふと見せる異常、そして目をそらし続けた自分自身の異常。「触るなバケモノ!」明日香がミキに投げつけてしまうその言葉は、自分自身にはね返る。ようやく鬱陶しいバケモノである自分を認め、長い闘いのはてに退院する明日香。彼女は栗田がしたようにミキに連絡先を渡したりはしない。ミキもまた寄せ書きに「1時間以内に捨てないと、この色紙は爆発します。」と冗談めかして書く。そんな二人の別れに私はふと一抹のさびしさを感じる。病院を出た明日香はミキのメッセージ通り色紙をゴミ箱に捨てる。「シャバに戻るっていうことはそういうことよ」そう教えながら、その場所に残る者とのつながりを完全には捨てきれなかった栗田。彼女が明日香と入れ替わるように病院に舞い戻るのはまさに当然の帰結なのだ。一方トンネルを抜けて清々しく「お守り」を風に飛ばす明日香は健康そのものだ。彼女がクワイエットルームに帰ることはおそらくもうないだろう。それでは、と思う。明日香の発した「バケモノ」の言葉が今度は観ているこちら側にはね返ってくる。それではミキとの別れをさびしく感じたお前はどうなんだ?life-is-happyを謳うハッピーエンドの裏側で、そんな自問自答がひたひたと語りかけてくる。クワイエットルームにようこそ。つくづく恐ろしいタイトルだ。松尾スズキはやはり底意地が悪い。
BOWWOWさん [DVD(邦画)] 5点(2009-11-24 21:06:38)
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投稿日付邦題コメント平均点
2019-02-25バーニング 劇場版10レビュー7.00点
2018-08-12リバーズ・エッジ8レビュー5.33点
2013-05-25青春神話10レビュー8.33点
2013-05-02エドワード・ヤンの恋愛時代10レビュー10.00点
2013-04-28恋恋風塵9レビュー7.00点
2013-03-09楽日10レビュー6.00点
2012-01-24海角七号/君想う、国境の南7レビュー5.23点
2011-04-02エターナル・サンシャイン9レビュー6.60点
2011-01-18ソーシャル・ネットワーク7レビュー6.53点
2011-01-02ファイト・クラブ9レビュー7.38点
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