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《ネタバレ》 相変わらずの安定ぶりで傑作を生み続けるイーストウッド監督。今回もその匠っぷりを思う存分発揮している。まず、この映画の主軸である「霊の世界」。一見するとリアリティのかけらもない、ただのファンタジーの様だ。しかし、物語はその主軸であるはずの「霊の世界」を最小限の表現に抑え、あくまで主人公ジョージ・ロネガンの言葉を通してでしか霊の言葉は語られない。こういった「霊の世界」との「距離感」が素晴らしいのである。現実離れした世界というのは近づきすぎても、遠すぎてもリアリティを失う。そしてそれらを売りとする映画がホラーやSFに分類されるのだろうけども、この映画は違う。あくまでリアリティを感じさせ、そんな世界があるような錯覚さえも起こす演出になっている。こういった繊細な映画作りができるというのが大巨匠の余裕なんだろう。ストーリーに関しても文句のつけようがない。ジョージとマーカスとマリー、この3人が徐々に近づき、出会う。このスピードが丁度いい。イーストウッドはこういう何かを交わせる時の速度というかタイミングのセンスが凄い。そして終盤、マーカスの前で交信を行うシーン、いわばクライマックスだ。薄暗い部屋で少年と霊能者が向かい合い、あの世にいるジェイソンの言葉を伝える。今思い出しても、特筆すべき程の素晴らしい台詞はなく、どちらかというと地味なシーンだと思う。なのに涙が出そうになる。周りからはすすり泣く声がいくつも聞こえた。イーストウッドマジックの一つだろう。鑑賞した人には分かると思うが、あのシーン、画面にはマーカスとジョージの二人しか映ってなかった。しかし、どうだろう、見てる人には早口で元気に話すジェイソンの顔も見えていたのではないだろうか?少なくとも自分にははっきりと見えていた。それが先に話したリアリティの具現化なんだと思う。こういった繊細な技術がクライマックスに収束する素晴らしい映画を作れるこの巨匠には感服するばかり。次回作も期待してます!
【関白宣言】さん [映画館(字幕)] 10点(2011-02-19 21:35:13)(良:1票)
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