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《ネタバレ》 久しぶりに、心から「すばらしい!」と思える映画に出会えました。人と人との絆の美しさ、大切さを十二分に描ききった作品。「ひとつの目標に向かっていく」人たちの物語なので、特に心を動かされます。
作劇上でよかった点は、ムダな説明がないところ。懸命に練習を重ねていけば、仲間同士のチームワークが生まれ、先生との絆も深まるというもの。それは当然すぎるほど当然なのであまり細かく描かず、早苗の一連のエピソードで“結果”だけを示す。しかしそれでも、十分説得力があります。これがいちいち仲良くなるプロセスを描いていては、そのあとの展開を考えればくどくなりすぎます。やたら説明ばかりして残念な結果になる作品が少なくない中、本作の「思い切った省略」は、ある種快感ですらあります。 個人的には、この早苗のエピソードがもっとも印象的・感動的で、まどか先生が風呂屋に殴り込みに行く場面など、ギャグでありながら感激してしまいますし、まどか先生の性格描写にもなっています。さらにあの展開があるから、実際の別れの場面も盛り上がるのでした。こうした段取りのつけ方が非常にうまいです。 もう一つ印象的だったのは、お母さんが紀美子のダンスを見る場面。それまでのお母さんは、頭から紀美子の行為を否定して聞く耳を持ちませんでした。それが、あの時初めて娘と正面から向き合った。それこそがこの親子にとって、もっとも必要だったことでしょう。そして初めて娘のことを理解できたような気がした。その説得が言葉ではなく、ダンスによるものだったというのも、この映画らしい。やはりムダな説明をしない、名場面です。 題材としては炭坑の問題なども出てくるわけですが、私にとっては、それはあくまでサイドストーリー。助け合い協力し合う人間のすばらしさこそこの映画の命であり、だからこそ時代や場所を越えて、感動を呼ぶ物語になったと思います。この映画を作った方々に感謝。この映画と出会えたことに、心から感謝します。 【アングロファイル】さん [CS・衛星(邦画)] 10点(2013-03-11 22:02:50)
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