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《ネタバレ》 職業にもよりますが、私たちは普段人の死に立ち会うことが少ない。それゆえ人の死は特別な出来事であり、映画やドラマではドラマチックに描かれることが多くなります。この映画は、死と出会う機会が多い納棺師を主人公にすることにより、過度にドラマチックになることを避けつつ、十分なドラマを描いていきます。納棺の場面で故人の人生の一端を伺わせるというのはうまいやり方でしょう。その一方で、肝心な部分ではしっかりドラマを作っています。そのあたりの緩急のつけ方がいい。
つまり、仕事で出会う人たちのちょっとした物語がステキなのであり、主人公と父親との関係は、型どおりに流れたようでちょっと残念でした。ただ、妻との関係の流れはよかった。普段出会うことのない、忌むべき存在である「死」を身近に感じる職業に対する嫌悪から、その仕事を目の当たりにすることによって理解するというプロセスは、説得力がありました。それは演じている本木君の所作が、私たちに説得力を感じさせるということでしょう。 宗教色を極力廃して、誰にでも訪れる「死」を扱ったことにより、普遍的な作品となりました。そのことが多くの人の共感を得たゆえんでしょう。封切り時以来の鑑賞ですが、やはり穏やかな気持ちで見られる作品です。希望を持たせた締めくくりもいいと思います。 【アングロファイル】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2013-08-12 20:40:49)
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