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《ネタバレ》 珍しい(と思う)ミステリー/サスペンス仕立ての時代劇。おまけにユーモアたっぷり。捕物帖とは一線を画したところがあります。
ある藩のお家騒動に関する書類が盗まれたのが発端。その犯人捜しを命じられたのが、雷蔵演ずる弥十郎。犯人は、崖崩れのため足止めされた宿に泊まっているらしい。つまり泊まり客の中に犯人はいる。ミステリーで言うところの「クローズド・サークル」の状況です。しかも、続いて起こる殺人事件。弥十郎探偵は、許嫁のお珠ちゃんを助手に、密かに捜査を進めます。ここで、投宿している客の人生が垣間見られるのが、時代劇らしいところ。 弥十郎は犯人を突き止めますが、その決め手となるものは単純でもの足りない。実は、犯人捜しがメインではなく、サスペンスに重点が置かれているようです。最後は宿から離れて青空の下、文字通りのクリフハンガーでサスペンスを盛り上げます。ここで驚いたのは、最後がヒッチコックの某作品そっくりだったこと。調べてみると、製作年度が近い(もちろんこちらがあと)。ということは、和製ヒッチコックを意図した作なのでしょうか。そう言われれば、ユーモアあふれるところや、光の使い方が独特なところなど、それらしくもあります。しかしなにぶん時代劇ですから、それほど似ているとは思いませんでした。最後になって気づいたくらいですから。 それはともかく、本作には独特の面白さがあってよかったと思います。推理力もあって女にモテモテの弥十郎と、推理マニアでけっこういいところを突いてくる、ヤキモチもしっかり焼いているお珠ちゃんのコンビが絶妙でした。特に雷蔵の弥十郎は魅力的で、シリーズ化されていないのが残念なくらいです。ヒッチコックに似ているかどうかはともかく、楽しく見ることができました。 【アングロファイル】さん [地上波(邦画)] 7点(2011-03-03 21:49:39)
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