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《ネタバレ》 こういう作品は、どうも低く評価すると申し訳ないというか、高く評価しないといけないんじゃないかとか、あらかじめバイアスがかかってしまうところがあるので、レビューしにくい面もあるのです。もっとも、見終わったらそういうこととはまったく無関係に、すぐれた映画だと感じました。
本作の白眉は、皆さん挙げておられるように、電車の窓ガラス越しに手話で会話するシーンでしょう。ここで夫が説得するために語ったのは、「夫婦二人で力を合わせて生きていく」ことの大切さ。しかし考えてみると、これは聾唖者であるなしに関わらず、人間として必要なことです。夫婦のみならず、人は一人で生きているのではない、ほかの人と助け合ってこそであるという、人の生きるべき道を訴えたことで、この映画は聾唖者の生活のみならず、“人間”そのものを描いた作として、賞賛されうるものとなりました。こういうことであれば、気兼ねなく高い点数がつけられます。その一方で、最初の子供を亡くす経過など、聾唖者ならではの悲劇も取り上げていて、そつのない目配りにも感心しました。あのラストも、その延長線上にあると考えれば、悪いとは思われません。まあこれも、演じていたのが監督夫人だからこそ、かもしれません。 ちなみに、本作は小林圭樹さん追悼として放送されたのですが、昨年末高峰秀子さんの訃報に接し、図らずも二重の追悼となってしまいました。お二人のご冥福をお祈りします。 【アングロファイル】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2011-01-04 17:52:59)
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