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《ネタバレ》 ●いささか少女漫画っぽいバレリーナ物語なのだけれども、とにかく過剰サーヴィスというか、たたみかけるような演出で、観ていてもドーパミンだかアドレナリンだかが脳内噴出するようであった。終わってみると「あれ?」というところもあるのだけれども、とにかく観ているときには夢中にさせられたのである。
●しかしこれはどう観てもポランスキーの世界で、ヴィジュアル的にも「ローズマリーの赤ちゃん」から多くを負っている感じだし、コンセプトの「妄想」は、やはりポランスキーの「反撥」に通じるところが大きいと思う。 ●主人公のニナ(ナタリー・ポートマン)の母親(バーバラ・ハーシー)のメイクなど、どうみても「ローズマリーの赤ちゃん」のうさんくさい隣人のおばさん(ルース・ゴードン)にそっくりであるし、そのニナが鏡に自分の背なかの傷を映してみるシーンなど、そのまま「ローズマリーの赤ちゃん」にあったショットの再現であったりする。 ●ついに「白鳥の湖」舞台初日を迎える前夜から、初日舞台終了まで(つまり、映画の終わりまで)のハイテンションぶりは異様なほどで、もうほとんどこれは笑ってしまう次元である。バレエのシーンはできるだけナタリー・ポートマンの全身を映さないように(つまりはやはり、それはムリだよということだろう)、たいていは上半身だけのショットで、そういう制約もあってのことか、全体に映像の美しさを堪能するような種類の作品ではない。それでも、「ブラック・スワン」を踊るニナの舞台シーン、「これはすごいんだ」ということを納得させるためというか、CGが最大限に活用されるわけだけれども、これは素材がダンスだとかバレエだからこそ、という特殊効果シーンなんだけれども、作品全体が「妄想」という非現実のフィルターがかけられているなかで、もうひとつ、観客の「妄想」をも巻き込んだようなこころにくい演出で、ここで映画としてのクオリティがいちだん上昇したような感覚である。 【keiji】さん [映画館(字幕)] 6点(2011-06-12 18:54:36)
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