| 作品情報
レビュー情報
《ネタバレ》 ●屋外の撮影が、けっこう美しい。●‥‥しかしいったいなぜ、ニュージーランドのマオリ族などを持ち出してしまって、そこに西欧起源の楽器を持ち込むなどという、まさに侵略主義的な視点がしのびこんでしまうようなあぶない物語にしたんだろうと、ちょっと疑問に思ってしまう。どうもここは、一方がことばをしゃべれない、そしてもう一方は字を読めないというかんけいをつくりたかったのだろうというのと、やはりラストにピアノを海に沈めたかった、ということなんだろう。
●海に沈んだピアノはたしかに美しいファンタジーだし、物語ぜんたいもファンタジーとして読みとってほしいのかも知れないけれども、どうもやはり、生々しすぎるところが気にはなる。‥‥男として、この物語のふたりの男のことを考えると、たしかに正当な夫であるサム・ニールはピアノを海岸から動かそうとしなかったし、どうもどこかうわべだけの「いい人」でしかなかったようには受けとめられる。一方のマオリ族の男のハーヴェイ・カイテルは、とにかくはヒロインのホリー・ハンターにはピアノがひつようなのだ、ということは理解していたわけで、そのことを「駆け引き」の材料にするという気概はもっていた、というか。もしかしたら、ホリー・ハンターにしてみれば、「駆け引き」をもちかけられるということに、自分の存在を承認し、求めるという行為に惹かれたところもあるのかも知れない。ハーヴェイ・カイテルが彼女と関係を持ったあとに、「あなたを娼婦のように扱ってしまった」と、悔いるところがいい。 ●ホリー・ハンターは、前半と後半でまるで顔がちがってみえる。前半からの筋張ったきつい表情はハーヴェイ・カイテルとの関係を持つことで和らぎ、ラストでは笑顔までみせるようになる。サム・ニールにはかわいそうな映画、だった。 【keiji】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2013-06-29 12:42:16)
keiji さんの 最近のクチコミ・感想
|