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レビュー情報
《ネタバレ》 大好きな西川美和監督と大好きな俳優役所広司さんということもあって、とにかく観る前からの期待値はかなり高かったです。ただ事前にあまり情報を得なかったので、この話が実在した人物をモデルに作られていたことは鑑賞後に知りました。知って思ったのは、この話の実在した人物と西川監督の世界観がものの見事にマッチしているということ。だからこそこれだけ素晴らしい作品へと昇華されたのでしょう。
反社会に対しての社会のシステムがどんどん厳しくなっていく中で、反社会から足を洗って真っ当に生きていこうとする人間に対する社会のあり方に焦点を当てているわけなんですが、そんな中で一番強烈に印象深く残るのは、私たちは常に社会に対して何らかの不平不満を抱きながらもそれらを我慢して生きていかなきゃいけないということを、その現実を改めて思い知らされたということが、何よりもズンときました。そんな我慢なストレスを抱え込んだ人たちは自分よりも立場的に不利な人を見つけるとつい上から的な態度を取ってしまうのも、こういった社会の闇なのかもしれませんね。 この監督さんは台詞のない描写で印象的なシーンをよく見せてくれるのだが、今作では、大きなキャベツから徐々に小さなキャベツを選び直すシーンや、ちょっと高級そうなシャンプーを手に取りながら羨望の眼差しで何とも言えない表情をするシーンとか、とにかくそういった何気ないシーンが本当に良い塩梅に散りばめられていて、非常に心地よい。 コスモスの花言葉は「調和」や「謙虚」。 やっと就職してこれから「謙虚」に社会と「調和」して生きていこうとした三上への最上の表現ですね。でも私は三上は死んで良かったんじゃないかとも。なぜなら果たしてあの職場で我慢し続けられるのか、己をとことん殺してまで耐えていけるのか、甚だ疑問でもあったし、我慢し続けてもいつかストレス溜まりすぎてぶっ倒れちゃうんじゃないかとも...だから遅かれ早かれ楽になるにはああなるしかなかったのかもって...だから死んで楽になれて良かったですね、ていう感情もありました。 すばらしき世界・・・皮肉たっぷりなこのタイトルが本当に...憎たらしい...。 PS:日本語の聞き取りづらい箇所が何箇所かあるの、年配者には本当に辛いので字幕付き邦画の検討、本当にお願いします。 【Dream kerokero】さん [インターネット(邦画)] 8点(2024-02-01 12:24:00)
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