キッズ・オールライト の tottoko さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > キ行
 > キッズ・オールライト
 > tottokoさんのレビュー
キッズ・オールライト の tottoko さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 キッズ・オールライト
製作国
上映時間106分
劇場公開日 2011-04-29
ジャンルドラマ,コメディ,同性愛もの
レビュー情報
《ネタバレ》 両親と子どもが二人の家庭。妻が家族ぐるみの付き合いのあった男と浮気してしまった。当然家庭の空気は悪くなり、思春期の子どもらへの影響も計り知れず・・と書くと凡庸なホームドラマだけれど本作は夫婦がレズビアンカップルで、浮気相手が子どもらの精子提供者だというヒネリにヒネったシチュエーションである。
いやあー、考えさせられましたねえ。なまじ設定をノーマルな家庭環境にしなかったため、「家族」というシステムの定義しづらさ、曖昧さを浮き彫りにする効果がありました。
即ち「生物学上の父は家族となり得るか?」
本父ポールはいい線行ってましたよね。独身の気楽さがちょっと鼻につくけど人好きがして、明るく積極的な性格がニックの家庭には無い資質で子どもらもジュールスすらも惹かれてゆく。アネット扮するニックはこの家で父性的な役割でしたから、初めからポールに対して「侵入者」への警戒心が強かったのも無理はないです。だって相手は「正真正銘の」父なんだもの。いくら女医でも彼女には真似できない。ほんと設定の妙が活きますな。
わたしはマーク・ラファロ扮するポールに反感は抱かなかったので、ジュールスと事があったのち、子どもらが一斉に怒りを向けてきたのにはむしろ驚きすら感じました。つまりこのことこそがこの映画のアンサーで、やはり「家族」を作り上げるのにかかった年月はそれなりに重いのです。特に子どもにとっては、人格形成期に愛情を注いでくれた大人がやはり親なのですね。
そして四人が「家族」なんだ、ということをこの上なく表したジョニの巣立ちの場面。ワタシは思わずもらい泣きしたのですが、一人家を離れる長女を別れ際に抱きしめる両母親の姿は娘を手放す寂しさや祝福、心配がないまぜとなりA・ベニングとJ・ムーアの演技力の真骨頂を見せられます。まさしく長年手塩にかけて我が子を育ててきた者でないと出せない感情であり、やはり「単なる良い人」ポールでは無理でありましょう。
そして、息子もまたちゃんと成長を遂げていました。15才という難しい年ごろ、両親がゲイ・カップルということに事あるごとに反抗的な態度を見せていましたが最後に車中で「別れちゃダメだよ。もうトシなんだから」ですって。涙なくして聞けましょうかこの台詞。
初め、正直なところレズビアン両親にどうも気持ちが入りづらかったのですが、観終わってみれば彼らの家庭にとても親近感を抱いていました。脚本も演技もとても良いです。
tottokoさん [CS・衛星(字幕)] 9点(2020-08-01 23:19:39)
tottoko さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2024-04-19ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル7レビュー7.17点
2024-04-12暴力脱獄6レビュー7.13点
2024-04-10キラー・ジーンズ5レビュー5.50点
2024-04-05アイダよ、何処へ?7レビュー7.33点
2024-03-31小説家を見つけたら5レビュー6.52点
2024-03-28ニューヨーク19976レビュー6.72点
2024-03-26ゴールデンボーイ(1998)7レビュー6.22点
2024-03-24パラレル 多次元世界7レビュー6.00点
2024-03-22マッチスティック・メン7レビュー6.94点
2024-03-21日曜日が待ち遠しい!5レビュー6.04点
キッズ・オールライトのレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS