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《ネタバレ》 なんとまあクラシカルな品の良さ。記憶喪失恋愛モノの原型ですね。展開も着地も予想できるベタっぷりですが、今どきやろうとしても突っ込みが入りそうなほどの奥ゆかしさ。
人物らが皆品下れず、苦労や困難に耐え忍ぶのです。登場時からずっと観客の「泥棒猫」視線を受けてきたキティ嬢の、まさかの潔い身の引きっぷりには驚きました。彼女の株が爆上がりした瞬間です。 そして構成の洗練されていること。古い映画にありがちな「だらだらして退屈」がありません。チャールズの記憶が戻った後はポーラには全く触れず、突然中盤に秘書として場に戻す。(ちょっとドアの画にタメがあるのが良いです)彼女の数年間の苦労についての描写を避け、さらりと台詞で語らせるのも「ああ苦労したんだねえ(涙)」とこちらの想像をかきたてる効果がありました。 何度も期待させてはポーラ(と鑑賞者)をがっかりさせる、じらし術のあんばいも程良かった。邦題でなんとなく敬遠してたけど、これは今も鑑賞に堪えうる立派な古典です。 それにしても妻の姿はおろか、スーツケースもネックレスも不発だったのにタバコ屋の婆さんが記憶の戻るきっかけって。いやなんでだよっとポーラの立場なら思うだろうなあ。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2021-04-09 23:59:41)(良:1票)
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