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《ネタバレ》 話の性質上それほど派手な場面はないが、イヤな場所感は要所でほどよく出ており、また小物や役者で前作との連続性も感じられる。ストーリーは原作とかなり違っているが、これはこれで悲恋物語になっており、劇団にまつわる性的に不道徳な雰囲気も出ている。また個別の場面としては、楽屋の鏡が割れた時の腹に響くような大音響が印象的だった。
そのほかこの映画最大の独自性は、当初は貞子が邪悪な存在とばかり思っていたのが途中から反転し、後半は貞子の方に共感する作りになっていることで、その決定的なポイントは車椅子の老人が立ち上がったところだろう。一人をわざわざ二人に分けたのも、片方をちゃんと人間として扱ってやるためだったと思われる。後に松嶋菜々子が共感したのは仲間由紀恵の心情であり、また真田広之を殺したのはもう片方だったと考えればいいのではないか(理屈が通らないところもあるが)。 ところで序盤で死んだ女優のほかに、年長の先輩女優もかつては団長のお手付きだったらしく、これが貞子討伐に率先参加していたのは見苦しい。しかしそれより劇中最悪の人物は何といっても新聞社の女であり、婚約者だったという下司な記者が自業自得で死んだからといって逆恨みしたこの女が愚かな情熱を燃やしたことで手が付けられなくなってしまい、それが後世の悲劇の拡大につながったということらしい。 こういう結果を引き起こした馬鹿には自決などさせず、どうせなら最高度に無残な殺し方をしてもらいたかった(顔に穴が開いて下顎の歯列が見えるなど)が、せめてもの救いは同行した劇団員が一人残らず全員ぶち殺されたことであり、ここはちゃんと正義が貫かれたストーリーになっている。音響係(音効)の男だけは巻き添えだろうが、本人もこれで満足だろう。 そのようなことで、とにかく貞子が哀れで悲しく切ない映画だった。ちなみに仲間由紀恵は特に好きな女優ということはないので、この人のせいで劇中の貞子に肩入れしているわけではない。 【かっぱ堰】さん [DVD(邦画)] 6点(2015-01-03 21:29:10)
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