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《ネタバレ》 ファンではないので冷たい見方をすると、一般人にとって決して悪くはないが絶賛するようなものではない、という微妙な感じのお話だった。映画化に当たって犠牲にした部分が多いのは当然としても、一方では映画で加えられたファン限定の仕掛けが素直に受け取れず、部外者にとっては確実に何割かが欠けて見えるわけである。
特に思ったのは、このグループの映画では何が何でもグループ一丸でなければ済まないらしいということである。本来、劇中の生徒には一人ひとりにそれぞれの才能と未来があったはずだが、映画では部長だけに特別の才能を賦与してグループを代表させる一方、他の人々は集団に埋没した状態で終わったためにその先を見通す形になっておらず、これでは高校3年生という設定も意味が薄れてしまう。以前のNHKのTVドラマもそうだったが、ストーリーの行方を実在のグループへの期待に振り替えるような形では一般の視聴者/観客が置いて行かれることになる(毎度これなのか)。 またこの映画では、“どこまでも行ける”というのが単なる景気づけの掛け声にしか聞こえない。ファンならそれで十分だとしても、銀河鉄道の切符の話を強く印象づけた原作のラストがないのは非常に惜しいことだった。それをやるとグループの解体を意味してしまうのかも知れないが(ザネリがいない)。 ただしアイドル映画として見た場合、自分としてもファンでないとはいいながら全く知らない人々でもなく、それなりに微笑ましい気分で見られなくはない。そこに劇中の感動的な要素が重なって泣き笑いのような感情を生じる映画だった。自分としてはまずは中西さんの目つきが切なく感じられるが、また明美ちゃんが失敗してしょんぼりしていたのがかわいそうで、それでも後輩には結構慕われていたらしいのが嬉しい。ユッコはさすがにお姫様には見えないのが残念だが、がるるに関しては人物イメージが原作に逆流して、これは本当にこういう人だったのではないかと思えて来る。 メンバー以外では当然ながら吉岡先生の迫力が圧倒的である。また杉田先輩は先輩らしい雰囲気ながら(実際は部長役より2歳年下)柔らかな笑顔に和まされるが、卒業後に日々苦闘していたらしい姿は健気に見える。この二人が部長の未来を段階的に示していた感じだったが、その部長も最後はちゃんとこの人々の後を追っていきそうな顔つきを見せていた。 【かっぱ堰】さん [DVD(邦画)] 7点(2015-09-30 23:35:58)
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