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《ネタバレ》 まずは冒頭のマーチが勇ましい。
基本的には子ども向け映画だろうが保護者も退屈しないようにということか、男2人のユーモラスな会話とか女優2人の美の競演とかラブコメ風味とか悲恋物語(の断片)を入れてあり、大人が見るのが苦痛というわけでもなく、けっこう幅広い娯楽性を備えた映画になっている。伝統的日本人に比べて外人男の言動があっけらかんとしてドライで、真面目な顔で笑わすようなことを言うのがいい。 X星人は宇宙人でありながらもみな不気味なアジア人顔で、歩き方も特徴的だが特に統制官の手振りが印象に残る。大きな動きは地球人類にも理解できそうだが細かい指の動きなどは意味不明というしかなく、これはまさに異文化の所産というところである。最後の「未来に向かって脱出」という台詞は空虚な負け惜しみ以外の意味が感じられないが、自分が負け惜しみを言う時に真似したいという気にはなる。 映像面ではX星での照明の使い方が印象的で、統制官が意味不明のX星語(グスタrrr、タッ、ブツザッと聞こえる)をつぶやいてから暗転するのは好きな場面である。また、あまり格好いいとはいえない円盤が、湖から水煙を引いて飛び立つところの映像美が東宝特撮らしい。 出演者は豪華というかお馴染みの面々だが、沢井桂子さんという人は特撮方面では珍しい出演者も知れない(ほかには同年の「フランケンシュタイン対地底怪獣」、特撮TV番組「ウルトラQ」第8話)。劇中人物としては可憐で清純そうな女性で、公的な場ではうつむき加減で控え目だが、親しい相手にはそれなりに言いたいことを言っていたようで、態度の使い分けがしっかりしているのが奥ゆかしい。波川女史と2人並んだ場面では引いてしまっている感もあるが、波川女史の応対がこなれ過ぎていて怪しいのに対し、この人の清楚さが際立っているという言い方もできる。 ちなみに最近、水野久美さんの出る「ケアニン ~あなたでよかった~」(2017)という映画を見たが、この映画での「ああ、あの方ね」という台詞で、この女優らしさというのが当時から現在まで継承されていることを改めて確認した気がした。 【かっぱ堰】さん [DVD(邦画)] 6点(2018-04-08 23:27:58)(良:1票)
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