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《ネタバレ》 「さて、次のニュースです。今朝、刑務所から逃亡した凶悪な殺人犯は現在も逃走を続けています。彼の名はフランク・チェンバーズ、殺人罪で懲役18年の刑でした。警察発表によると彼はいまもまだ逃亡を続けており、近隣住民は不安な日々を過ごしています」――。1987年、アメリカの蒸暑い片田舎で思春期を迎えたばかりの息子と2人で暮らすアデルは、過去の辛い離婚が原因で精神的に不安定なシングル・マザー。生きる支えである最愛の息子ヘンリーと近所のスーパーへ買い物に行った彼女は、駐車場で逃走中の脱獄犯フランクに強引に車へと乗り込まれてしまう。息子の安全と引き換えにフランクはそのまま、アデルの家へも乗り込んでくるのだった。降ってわいた事態に、当然のように怯える親子。だが、フランクの殺人犯とは思えないその誠実な人柄に、母子はいつしか心を許していく。やがて、息子は離れていった父親の面影を、母は失われた愛を投影するかのように、そんな今にも壊れてしまいそうな危うげな日々に身を任せていくのだった……。脱獄した殺人犯に人質として囚われた親子が、いつしか擬似家族のような絆を結んでいったそんな刹那的な5日間を濃密に描き出すヒューマン・ストーリー。この監督の過去の作品は何度か鑑賞してきて、その人生の生き辛さや理不尽な現実をあくまで軽くポップに描くその作風は、まあ意図してのことではあると思うのだけど、なんだか妙に鼻について正直あまり好きではありませんでした。そんなわけであまり期待せずに彼のこの新作を観始めたのですが、これが意外や意外、男女の愛憎が濃厚に入り乱れる人間ドラマの佳品へと仕上がっていていい意味で裏切られました。いやー、なかなか面白かったですよ、これ。セックスシーンらしきものはほとんどないのに、この全編に漂う濃厚な性の匂いに僕はもう完全にノックアウトでした。この擬似親子関係を作り上げた3人が、手を混ぜ合わせてピーチパイを作るシーンなんて、そんじょそこらの官能小説より充分にエロティック!!対する思春期を迎えたばかりの悶々息子(笑)が、かなりおませな同級生の女の子にファーストキスを奪われ、「これであたしはあなたの忘れられない女の子になれたわ」なんて言われるシーンとかすんごく印象的(話はずれるけど、この女の子の蓮っ葉ですれたロリビッチな雰囲気、もろ自分のタイプっす☆笑)。最後の展開は確かにやり過ぎな感もあるけど、これはこれで良かったと僕は思います。うん、なかなかの良作でありました。
【かたゆき】さん [DVD(字幕)] 8点(2015-06-12 02:23:20)(笑:1票)
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