ゴールデンボーイ(1998) の オルタナ野郎 さんのクチコミ・感想

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ゴールデンボーイ(1998) の オルタナ野郎 さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 ゴールデンボーイ(1998)
製作国,カナダ,
上映時間112分
劇場公開日 1999-06-26
ジャンルドラマ,サスペンス,戦争もの,青春もの,小説の映画化
レビュー情報
《ネタバレ》 アメリカで遁世している元ナチスの高官である老人と頭脳明晰な男子高校生との交流と駆け引きを描いた「裏グラン・トリノ」的なサスペンス映画。老人を通じてホロコーストの真実を探ろうとする主人公がその狂気を呼び覚ましてしまい、やがて自らもその狂気に染まっていくという話はそこそこスリリングではあるのだが、ナチスやホロコーストをある意味オカルト的事物として扱っている姿勢に若干の違和感を感じた。そもそも収容所の昔話やSSのコスプレをした程度で芽生えてしまう狂気に、『ひっとらぁ伯父サン』並のデフォルメ感を覚えてしまったのは自分だけだろうか。その片鱗に触れただけで気が狂ってしまう様な禍々しい呪物としてホロコーストを描きたいのは分かるが、別にナチスは特別に頭のおかしな人達だけが集まって出来た組織ではないはずである。おそらくナチスの末端でユダヤ人狩りをしていた人間の多くは、命令に従っただけの小心な役人に過ぎなかったに違いない。つまりそれは、誰だって条件さえ揃えばホロコーストの当事者になり得る可能性があるという事である。現に戦後の日本でも小規模なホロコーストと思わしき事象はいくつも発生している。連合赤軍山岳ベース事件・女子高生コンクリート詰め殺人事件・一連のオウム事件、まだ記憶に新しい尼崎の連続変死事件だってそうだ。ホロコーストはオカルト現象ではなく現実に起こった出来事だし、これからもいくらでも起こり得る可能性のある事象である。この映画の様にホロコーストを記号化・特別視して忌諱の対象にしてしまうのは、否定はしないが個人的には余り感心しない。むしろ、もし身近に横暴な独裁者がいるなら、その価値観を徹底的に相対化させて鼻で笑ってやるべきだろう。
オルタナ野郎さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2013-04-09 19:04:12)(良:1票)
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投稿日付邦題コメント平均点
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県警対組織暴力7レビュー7.57点
イエロー・ハンカチーフ4レビュー5.09点
インドへの道7レビュー6.35点
2014-10-12ボーイズ・オン・ザ・ラン7レビュー7.05点
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